他に動きが目立つものとして、「動画」「コミュニケーション」「アーティスト公式サイト」を挙げておきたい。
動画に関しては、高速通信の利用が可能な端末が増えているのに加え、動画再生環境が整いつつあることから、注目を集めている。映画やドラマなどの長時間動画は専用のアプリを使ったストリーミング配信、ビデオクリップのような短時間のものは携帯電話内蔵の動画プレーヤーを使ったダウンロード配信が多い。
有料の動画コンテンツの中で、特に最近人気が高まっているのはアニメだ。その理由としては、既にファンのついている、人気の高いタイトルが配信されるようになったことが挙げられるだろう。現状では幅広いコンテンツが見られているというよりも、メジャーなタイトルに人気が集まる傾向がある。
また、これまで有料動画コンテンツの市場を牽引してきた音楽のビデオクリップも、「500円で一曲丸ごと配信」というケースが増えた。「着うたフルに200円追加するとビデオが楽しめる」という切り口のリコメンドによって、購入を促すことに成功している。
ただ、携帯電話で動画を見ることに抵抗を感じる人がまだ多いので、市場が大きくなるにはもう少し時間がかかると思われる。高速通信が可能な機種が増え、「YouTube」「ニコニコ動画」などのユーザー投稿型動画コンテンツを携帯電話で見る人が増えてくれば、状況が大きく変わってくるのではないだろうか。
コミュニケーションサイトに関しては、携帯電話の秘匿性の高さを生かし、「性の悩み」「不妊症」といった相談に専門の医師が回答したり、みんなで悩みを相談しあったりするキャリア公式サイトが増えている。検索サービスにおいて、「妊娠」など悩み系のワードが上位にランクされるのは、こうしたコンテンツの増加が影響しているといえよう。
また、アーティストの公式サイトも増えている。日本のメジャーアーティストだけでなく、海外のアーティストや韓流スターなど、多くのアーティストがキャリア公式のモバイルサイトを開設している。ファンクラブに参加するような熱心なユーザーは、月額300円くらいであればモバイルサイトの会員にもなる場合が多く、会員数が予測しやすい。そのためアーティストの事務所やコンテンツプロバイダーが積極的なようだ。
端末の機能進化やユーザーの利用形態の変化などにより、新しいジャンルのコンテンツも次々と誕生している。こうした変化に合わせ、ユーザーの求めるコンテンツに対応していくことも、コンテンツ事業で成功を収めるための重要な要素となってくるだろう。
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