ForresterのアナリストCharlene Li氏によると、GoogleはYahooが得意とするディスプレイ広告ビジネスを強化するだけでなく、先ごろ独自の検索広告システムを投入したMicrosoftをも難しい立場に追い込むことになるという。
Schmidt氏によると、Googleは「とても長い間」DoubleClickの買収を検討してきたという。DoubleClickの本社とGoogleのニューヨークオフィスは同じ建物内にあり、従業員同士の交流もある。Googleの幹部らによると、両社は企業文化も似ており、長年パートナー関係を築いてきた実績もあるという。Schmidt氏は、「正式な場ではなかったものの、これまでも非公式に話し合ってきた」と語っている。
今回の31億ドルは、Googleにおける企業買収の最高金額。これまでの最高額は、2006年に買収したYouTubeで、Googleは株式で16億5000万ドルを拠出している。
Li氏は、GoogleにとってDoubleClickの買収は、金額に見合う価値があると述べる。「Googleは何年も前からディスプレイ広告市場への参入を目指してきた。広告主との関係を築き上げてきたDoubleClickと競合するのでは時間もかかる」という。
同氏はさらに、「彼らは、ようやくDoubleClickを手に入れた。ディスプレイ広告、検索、(Google Checkoutによる)トランザクションを活用し、うまく連携させれば、買収金額も無駄にはならない。そのような意味でGoogleにとって今回の買収は『必然』だった」と述べる。
Googleの共同創業者Sergey Brin氏は、DoubleClickのシステムを用いてターゲット広告を打てるように、ディスプレイ広告の広告主にユーザーの検索結果情報を提供するのかと問われ、その可能性は低いと述べた。同氏は、「エンドユーザーのプライバシーには非常に注意しており、新製品を検討する際は、最優先の検討課題にしている」と述べた。
DoubleClickは、オンラインとオフラインに存在する消費者のデータを組み合わせたり、ユーザーの動きを監視して、個々人のプロファイルに合致した広告を表示させたことで、1990年代後半に激しい批判にさらされた。同社は2000年に、消費者の嗜好にあわせて「インテリジェント」にターゲティング広告を行うサービスを提供開始したが、これの中止を余儀なくされた。また同社は2年前、消費者を特定可能なデータを不正にトラッキングおよび収集しとして州や連邦政府から訴えられていた裁判で和解している。
日本法人のダブルクリックに問い合わせたところ、すでに米国Double Clickとの資本関係がないことから、今回の買収によって日本におけるサービスに影響が出ることはないという。
日本法人は広告管理製品「DART」の長期契約の販売代理店という位置づけであるため、Googleが日本でDouble Click製品のサービス展開を行った場合も引き続きDARTの販売を継続する方針だ。ただし、この契約は独占的なものではないという。
今回の買収により、日本法人の株価は一時的に高騰しているが、同社は「これは米国のDARTという製品がGoogleに評価されたことによるもの」と冷静で、現在のところ国内で何らかの発表を行うことはないとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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