例えば、HTTPリクエストヘッダの「HTTP_USER_AGENT」には、ドコモ端末であれば「DoCoMo」、au端末であれば「KDDI」、ソフトバンクモバイル端末であれば”「SoftBank」などといったキャリアごとに特有の固定値が存在し、サイト運営者の多くは、この値で条件分岐を行っていることが多い。
S21HでInternet Explorerを利用した場合のHTTP_USER_AGENTは、「Mozilla」を冠したものであり、たいていの場合はPCからのアクセスとして振り分けられる。その結果、携帯電話端末であるのにも関わらず容量の大きなPC向けサイトの閲覧を余儀なくされるというわけだ。
電気通信事業者協会発表の2008年10月末時点における携帯電話事業者別シェアは、上記主要3キャリアのシェアを合わせて99%を超える。こうした市況下にあっては、主要3キャリア以外からのアクセスのケアをしていないサイトがほとんどであることに不思議は無い。
しかし極端な話をすると、いくらSEOの取り組みによってサイトが上位に表示されていても、携帯電話端末からモバイルサイトへアクセスすることができなければユーザーに対する価値は無いに等しい。
ご存知のように、主要3キャリアからもすでにスマートフォンが発表されている。例えばドコモからリリースされている「8707h」だ。この端末はBlackBerryデバイスで、他の一般的な3G端末と異なる最大のポイントは、iモードに対応していない点だ。
言い換えると、ドコモのゲートウェイサーバを経由した公式サイトへの接続が不可能で、利用できる検索エンジンは必ずGoogleモバイルやYahoo!モバイルといった一般検索エンジンとなる。
さらに他の端末と異なるのが、ドコモの機種にも関わらず、HTTP_USER_AGENTには「DoCoMo」の値を持っていないことだ。当然、前出のS21HTと全く同じ状況が起こってしまう。
こうしたスマートフォンは、主要3キャリアの端末であってもPCサイトへ誘導してしまうため、今までの条件分岐に安住することは非常に危険である。筆者の調査では、ほとんどのサイトがスマートフォンからのアクセスに対応できていない。
現在、日常的に使われる検索ツールがPCから携帯電話へとシフトしつつある。スマートフォンユーザーの増加率を見ても、従来の携帯電話端末のみならず、今後はスマートフォンユーザーからのアクセスにも目を向けたモバイルサイト運営の重要度が増すことは言うまでもない。
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