ネット使えない選挙運動「困らない」--堀江貴文氏に聞く公選法の問題 - (page 2)

西田隆一(編集部)2005年08月26日 23時56分

--逆に当選されたら公選法を改正したいと思いますか。

 もちろん議員の身分となれば、法案としては出したいと思っています。公職選挙法の改正案ですよね。それは出せばいいと思いますよ。

 議員定数も減らしたほうがいいし。参議院も縮小して、あるいはなくしてしまうというぐらいの勢いですけども。

--昨年、米国の大統領選ではハワード・ディーンがブログを使うなどしてインターネットを駆使した選挙活動を行いました。多額の献金を集めることもできました。日本でも、インターネットで選挙運動ができるとすると、新しい政治家が生まれると思いますか。

 まず、献金については、なんでそんな制度があるのかということですよね。

--それはどういう意味でしょうか。

 どう考えたって、利益誘導につながりませんか? そんなことはないんですかね。献金と賄賂の違いってなんなのですか?

--社会がよくなると信じて献金しますが、賄賂は対価をもとめますよね。建前だとしても。

 それは、そんなにかわらないですよね。

--でもそうなるとある程度お金をもっている人でないと、立候補できないということにつながりませんか?

 それでいいんじゃないですか? それはまずいんですか?

--まずくはないのですが、お金がなくても世の中を変えたいという意思を持つ人もいますよね。

 でも、献金を集めなければできないんでしょう。それは賄賂とか汚職につながりませんか。僕なんか汚職とか賄賂に絶対つながらないですよ。だからそれは古いものの見方だなと思う。僕はその前提として、相続税率100パーセントにしてもいいと思うんです。

 僕が言いたいのは、親が金を持っていただけで議員になってしまうようなボンボン二世がいたらまずいけれど、相続税率100パーセントにしてしまえば、そういう人は絶対に出ないよねっていうことです。お金をちゃんと渡したいのであれば、贈与税の範囲で生前贈与すればいいと思うんです。

 ほかには、企業活動でお金を稼いで立候補すればいいんじゃないですか。

 それと、僕は政治家の数そのものが減ればいいと思うんです。国会議員でも衆議院に500人ぐらいいるでしょう。それを200人とか150人に減らしてもいいと思うんですよ。多すぎですよ、いまの議員数は。

 国務大臣なんかも半分は民間から登用してもいいようになっているんです。政務官や副大臣もそうなんです。だから民間登用すればいいと思うんです。官僚も民間登用できるようにすればいいんですよ。たとえば、課長クラスとか。民間からヘッドハンティングしてこれるようにすればいいんですね。

 そういうのも含めて、ネットで金を集めるというのはどうかと思う気がするんです。

--ただ、献金のためではなくて、立候補者について知ってもらうという役割については、インターネットは大きいのではないですか。

 ウェブサイトを作って(選挙運動を)やれるようになればいいよねっていうのは誰でも思っているんだけど、現職の議員が保身のためにそうしているから、だめですね。その原因を作っているのは、やっぱりもろもろの法制度だと思うんです。

 だってそうじゃないですか。政治家って、たとえば衆議院議員ってものすごく割に合わない商売なんですよ。4年の任期で、しかもいつでも解散されてしまう。つまり、いつでもリストラされてしまうわけですよ。そのたびに選挙をしなければならなくて、お金がかかるでしょう。大変じゃないですか。

 そういうすごいリスクのある商売をわざわざやる人って、もう結果として二世、三世議員として家業になってしまっているんですね。家業だから仕方なく継ぐとか、家業だから親父の背中を見て育ってすごいなと思ったからやるとかじゃないと。

 普通の人は「政治家ってなんか悪いことしてそうだな」って思っているわけです。しかもお金はかかるし、文句ばっかり言われるし、大変だとみんな思っているわけです。

--堀江さんは昨年以降、世間的にものすごく知名度が上がったことが、今回の選挙に出られた理由につながっているとおっしゃっていましたが、もし知名度がなければ選挙に出ようと考えていませんでしたか。

 考えていないでしょうね。

--インターネットで選挙を変えてやろうという意識があったわけではないのですね。

 ないですね。だって、変えられないんですもん。

--でも、これから若い世代が成長して、政治への参加意識を持てば公職選挙法も変わってインターネットを選挙活動にうまく使える仕組みができあがっていくと思うのですが。

 いや、わかんないですよ。みんな議員にならないと変わらないです。だって、現職議員は自分たちの保身のことしか考えていないわけだし、古臭い選挙をやっているわけです。みんな、小選挙区で地盤があって。いつまでたっても変わらないと思いますよ。

 だって、変わりようがないじゃないですか。誰が法案を提出するんですか? 誰が可決するんですか? だから、みんなが議員になって変えるしかないんじゃないですか? だと思いますけど。そういう考え方の議員が増えないとダメですね。

 ただ、それで結局、政治がよくなるのかという問題もあります。

 投票率を上げるっていう意味ではすごく大事だと思いますけどね。むしろ電子投票っていうのが大事なんじゃないですか? たとえばケータイで投票できるとか。

--意外にインターネットに対する選挙の利用についての見方はドライなのですね。

 それは、ここ(広島6区)から立候補しているからですよ。ネットは比例区しか役に立たないですよ。それに、比例区だったら新党しか選択肢がないわけでしょう。ネットを活用すると言ったところで。

 それに変なことにもなりかねないですしね。たとえば、田代まさしを当選させようみたいな、そういう事件も起こりそうですよね。

※関係者によれば、インタビュー時には立ち上げる予定となっていた、堀江貴文氏の政治活動としてのウェブサイトも、「選挙活動につながるとみなされる恐れがある」という識者の見解から、結局は開設は見送られたという。

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