起業家たちが、若者に衆議院選挙の投票参加を呼びかける市民運動「YES! PROJECT」が始動した。8月26日、同プロジェクトの設立記者会見が都内にて開催された。
YES! PROJECTのYESは、Young Entrepreneurs' Societyの略だ。プロジェクトの発起人代表となるグロービス代表取締役の堀義人氏を中心に、157人の起業家が発起人となって集まり、ブログとソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を使って若者の政治に対する意識を高めようとする運動だ。運営事務局は、議員事務所へのインターンシップ事業を展開するNPOのドットジェイピーが担当し、プロジェクト専用のSNSサイトは、SNS「GREE」を運営するグリーが同サイト内にて展開する。
プロジェクト発起人代表の堀氏は、同プロジェクトの設立経緯について、「ある政治家と会食した際、『若手経営者に何を期待するか』と聞いてみたところ、『ビジネス界にいる人は、政治に対してあまりにも遠慮がちだ。もっと考えていることをオープンに世間に伝えてほしい』という答えが返ってきた。そこで、自ら政治に関して積極的に発言していこうと決めると同時に、ブログとSNSを使って“選挙に行こう”“改革を進めよう”“もっと発言しよう”と訴えるためのプロジェクトを立ち上げた」としている。
堀氏は、特に若年層において政治離れが進んでいることや、選挙の投票率が低下していること、選挙の候補者や政党についての知識や情報不足が投票率低下の一因となっていることなどから、「当初は、有権者が候補者に関する情報を得られる政治家の比較サイトを立ち上げようと考え、seijikahikaku.comというドメインを取得した」という。ただ、政治家の情報を発信するサイトは、公職選挙法に接触する恐れがあるために断念し、「ブログとSNSで選挙に関わっていく運動を進めることにした」としている。
ここでブログやSNSに目を付けたのは、ブログの読者やSNSの参加者が主に20代から40代前半の若手が多く、選挙に行かない世代と重なっているためだ。また堀氏は、ブログがもともとマスメディアによる政治や戦争報道の偏向を是正するために生まれた個人メディアという意味合いが強いことや、SNSではプロフィールを公開するために意見交換の場でいい加減な書き込みができないことなどから、「こうしたインターネットメディアの担う役割は大きい。ブログやSNSに参加している世代が立ち上がれば、必ず日本は変わる」としている。
ただ堀氏は、YES! PROJECTが政治運動ではなく市民運動であることを強調している。「若者の政治参画意識を高めることを目的とし、特定の政党や個人を応援することはない」と堀氏。YES! PROJECTの公式ブログおよび公式SNSのページでは、「選挙に行こう」といった呼びかけや、「ライブドア堀江社長の出馬をどう思うか」といった議論が交わされている。堀氏は、「インターネットでこれほど質の高い議論が交わされているのははじめてみた。参加者が全員素性を明かしており、経営者という責任感のある立場に立っている人たちならではのことだ」と述べ、ブログやSNSの力で日本を変えていく意気込みを見せた。
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