はてな対mixi? 注目の若手企業家が互いのサービスを語る--NILSレポート3

 ブログとソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は、今、最も注目を集め、また多くの人々に利用されているインターネット・サービスと言えるだろう。New Industory Leaders Summit 2005 Summerのセッション「注目ネット企業 若手起業家のライブフリートーク!」では、ブログの他、ユニークなサービスで注目されているはてなの代表取締役、近藤淳也氏と、SNSを中心とした各種サービスを提供するイー・マーキュリー代表取締役の笠原健治氏によるトークが展開された。

 近藤氏、笠原氏は共に29歳。大学在学中にインターネットが浸透し始めた世代であり、一度も企業に就職することなく、ネット企業を興した。そんな共通項を持つ彼らの提供するサービスの魅力と、今後の方向性について、探っていこう。

バラエティ豊かなサービス群

 はてなは2001年に京都で設立。「人力検索」と呼ばれるQ&Aサービスシステムからスタートした。現在は登録サイトの更新状況を自動巡回で確認する「はてなアンテナ」、ブログサービス「はてなダイアリー」、特定メンバーとグループウェア的な利用ができる「はてなグループ」、RSSリーダー「はてなRSS」、自動カテゴリー整理、キーワード抽出機能を持つ「はてなブックマーク」など、約10種類のサービスを提供。これらサービスはすべて自社で開発・運営している。

次々と新しいサービスを作り出すはてな代表取締役の近藤淳也氏

 これらの中でも最も会員数、アクセス数が多いのが「はてなダイアリー」だ。2005年2月時点で登録ユーザーが16万人、閲覧者であるユニークユーザーが650万人、月間ページビューは2億8000万にのぼる。

 はてなのビジネスモデルは、3つの収益源から成り立っている。1つは有料サービスを利用する際に必要な「はてなポイント」などの個人課金。2つめはキャンペーン企画やバナー広告、アフィリエイト等の広告。そして3つめが企業向けシステムの提供である。

mixiを運営するイー・マーキュリー代表取締役の笠原健治氏

 一方、SNS「mixi」を提供しているのが、イー・マーキュリーだ。同社は1997年から求人情報サイト「Find Job!」を運営し、99年に法人化。その後、2004年2月に「mixi」をスタートさせた。「mixi」のユーザー数は2005年8月現在で100万人を突破。7月時点で一日のページビューが4200万ほどあったというから、サービス開始わずか1年半ほどで、日本でも有数のネットサービスに成長したわけだ。

 「mixi」の二大機能は日記とコミュニティだと笠原氏は言う。日記で身近な友人とコミュニケーションをし、コミュニティで趣味、嗜好が近しい人々とコミュニケーションする。それぞれが縦と横の軸となることで、場が活性化するという。アクティブユーザーが多いのも特徴のひとつと笠原氏は言い、最終ログインが3日以内のユーザーの割合は70%になるという。

 収益源はバナー広告が最も多く、ついでプレミアムと呼ばれるオプション機能料金、やや差があってレビュー機能からのアフィリエイト。2005年3月から単月黒字をあげている。

両者の個性、そして目指すもの

 セッションでは、はてなについてはそのユニークな社風について、イー・マーキュリーに対してはSNSの可能性についての質問に、多くの時間が割かれた。

 まずはてなについてだが、はてなのサービスはどれをとってもひとひねりが利いている、ユニークなものばかりだ。「これらサービスに共通する発想の源は?」というモデレーターの西川氏の問いに対し、近藤氏は「はてなららしさがあるか、はてながやるべき事か、を常に社内で議論している」と答えた。その根底には、技術的に面白いもの、他では提供していないものを提供するのが、はてなの仕事だという考えが流れている。ユーザーからの要望をいち早く、良い形でサービス化したいという姿勢も一貫しており、数日間の合宿で缶詰になってサービスを作りあげたり、社内会議を録音してポッドキャスティングで公開するなど、かなり大胆なことも行っている。

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