ディー・エヌ・エー(DeNA)の株価が先週、一時20万円台を割り込むなど一段安となった。10月28日に同社は、2009年3月期連結業績の下方修正を発表、これがきっかけとなり市場関係者の間に業績先行き不安が強まり、売りが先行したようだ。しかし、10月30日には自社株買いを発表、市場はこれを好感し株価は一転して上昇の兆しをみせてきた。
同社は10月28日、2009年3月期の連結業績予想について下方修正を発表した。それによると、従来予想の売上高を420億円から370億円(前年同期比24.4%増)へ、営業利益を175億円から145億円(同14.5%増)へ、経常利益を176億円から146億円(13.8%増)へ、純利益を88億円から78億円(同15.1%増)へとそれぞれ下方修正した。
下方修正の背景となったのは、主力事業の携帯電話総合ポータル(玄関)サイト「モバゲータウン(モバゲー)」で、その主な収益源である広告、アバター(自分の分身となるキャラクター)が伸び悩んでいるためだ。アバター関連の伸び悩みについて同社では「アバター自体や利用シーンの新規性の不足、健全性施策の強化による若年層のコミュニティレベルの低下などの複合的な要因」としている。
同社では、新しい収益源として、有料ゲーム、中高年向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などに取り組んでいるが、まだ先行投資の段階。これまでは、既存事業の成長と、新規事業の収益化が切れ目のない状態で好循環していたが、そのサイクルに誤差が生じてきたといえる。同社の南場智子社長は「現在モバゲーの会員数は約1200万人で、モバイルサイトとして国内最大級。この顧客基盤を生かして、今後も新しい収益源の創出に注力していく」としている。
下期(2008年10月〜2009年3月)については、大手ゲーム会社各社と共同開発したアイテム課金型ゲームなどの配信を拡大し、本格的にゲーム分野を中心とする新たな収益源の創出を図るとしている。
さらに、同社は10月30日に自社株買いの方針を明らかにした。それによると、発行済株式総数の3.09%に相当する1万5000株、金額にして約30億円を上限として、11月4日〜12月26日に実施する予定だ。自社株買いは、2005年2月に同社が株式公開して以来はじめて。これまで株式市場から指摘されてきた、純資産の約70%を占める高水準の手元資金(約226億円)の活用に着手したという点で、市場関係者からのプラスの評価を受けている。
世界的な金融危機の影響による全体相場の急落に連動して同社の株価は、7月28日の69万5000円から下落しはじめ、10月28日の業績下方修正後の30日には一時、19万3200円まで下落した。しかし、自社株買いの発表もあり、株価は反転上昇の兆しをみせはじめてきた。先週末31日の終値の21万4000円で試算した連結PERは13.3倍と割安水準となってきている。全体相場が落ち着きを取り戻せば、中期的には株価40万円回復も十分期待できそうだ。
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