ファイル共有ソフトの「Winny」が組み込まれたパソコンから情報が流出する被害が相次ぎ、安倍晋三官房長官までもが国民に対して「Winny」の使用をやめるように呼びかけるなど大きな社会問題となっている。
株式市場関連でも、ジャスダック証券取引所(JASDAQ)が3月19日に、市場運営に関わるシステムの開発資料が、Winnyを介して流出していたことを明らかにした。JASDAQによると、システム開発委託先である日立製作所の外注先企業から、システム開発に関する手順や作業スケジュールが流出したという。しかし、さすがに転んでもただでは起きない(よく言えば森羅万象何でも株価の材料にする)株式市場のこと、さっそく「Winny対策関連」の銘柄を絞り込み物色する動きが活発化してきた。
対策ソフトといえばまず多くの人が頭に浮かべるのがウイルス対策ソフト大手のトレンドマイクロ(東証1部)。2005年末に4700円台だった株価が、ライブドアショックによるIT関連銘柄全般へのマイナス影響なども加わって3月3日には3470円まで売り込まれていた。それが、Winny騒動が広がりをみせはじめた3月上旬から株価がじり高歩調となり、先週後半には再び株価は4000円台に乗せてきた。市場関係者は「トレンドマイクロの場合、大手としてもちろん数多くの品揃えや、官公庁・大企業向けのシステムとしての防御対策に定評があり、大きなビジネスチャンスであることは確か。しかし、実際の収益にどの程度寄与するかは未知数の部分が多く株価の先行きも読みにくいのが実情」としている。
さらに、3月22日に、暗号化したファイルを復号化する際に復号先のパソコンにWinnyが存在する場合、ファイルの復号を停止して情報漏えいを防止する暗号化プログラム「Safety Disclosure Find Winny」の4月からの販売を発表したイーディーコントライブ(マザーズ上場)の株価は、3月20日の2万9920円終値から、21日(春分の日)の日経新聞による「対策ソフト発売」の報道を受けた22日の株価は3万2950円まで急騰しストップ高。22日の会社側の正式発表を受けて23日の株価も連日で前日比ストップ(4000円)高の3万6950円まで買われ、先週末の24日には一時4万円台に乗せる場面も見られるなど数日間で一気の急騰をみせた。
また、情報セキュリティソフトのインテリジェントウェイブ(ジャスダック上場)も20日から情報管理ソフトにWinnyを発見する機能を搭載しての販売をスタートしている。パソコンの起動時に自動的にWinnyの有無を検査するもので、もしWinnyが組み込まれていれば、パソコンの起動を停止する仕組みだ。企業内における個人のパソコンからの機密情報の流失を防ぐことが可能になるだけでなく、企業にとっては機密情報が漏洩していないという「証明」が可能になるものとしている。同社の株価は3月17日に35万円水準だった株価が好材料の表面化によって、22日にはいったん41万円台まで急騰したものの、先週末の24日には37万円水準にまで反落するなど乱高下の展開となっている。
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