株式市場関係者の間で、モバイル&メディア事業をグローバルに展開するインデックスへの関心が急速に高まっている。5月25日付の日本経済新聞1面で「インデックスがテレビ朝日など在京民放各社と資本・業務提携する方向にある。民放各社に対し第三者割当増資をし、200億円程度を調達する計画」と報じられたことがきっかけだ。
単なる携帯電話向けのコンテンツ情報配信会社に止まらず、貪欲なまでに有力コンテンツ(情報の内容)を求めて資本提携を含めた事業展開を積極化してきた姿勢が実を結びはじめたことへの評価が、株式市場でも評価されはじめているようだ。市場関係者の間では「楽天が現在のジャスダック市場から東証1部に指定替えとなった後の新興市場の盟主となる銘柄の筆頭格としてインデックスが浮上してきた」としている。
テレビ局と提携するという報道に対してインデックスは、「現時点で交渉・検討中であり、当社が機関決定している事実はない。正式な内容の確定並びに決議をしたうえで、速やかに開示する」とのコメントを発表した。これは、“提携することは決定しているが、現在は中身を検討している最中”とも読みとれる内容だったが、実際に5月30日には正式発表された(関連記事)。
インデックスは5月30日、フジテレビなど在京民放キー局4社やCS(通信衛星)放送のスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー)、出版社の幻冬舎など合計7社を引受先とする総額205億円の第三者割当増資を実施すると発表した。インデックスは、フジテレビとTBSの株式を保有し相互に株式を持ち合う方針だ。
増資引受額はスカパーが最大の約100億円で、フジテレビ50億円、TBS36億円、日本テレビ10億円、テレビ朝日3億6000万円などとなっている。払込期日は6月15日。増資で得た資金のうち、60億円をメディア関連の新規事業に振り向けるほか、40億円をコンテンツの開発に充てる。
同社は以前から携帯電話の将来的な可能性に注目して、コンテンツ中心に幅広い事業展開を進めてきた。積極的なM&A(企業の合併・買収)により、ゲーム、アニメ制作など多くのコンテンツ関連企業を傘下に収め、事業規模を拡大してきた。そして、コンテンツの中でもテレビは最大級の規模があり、テレビと携帯電話の融合が本格化すれば、同社の成長性は大きく膨らむことになる。
インデックスとテレビ局との連携は、今回が初めてではなく、すでに上場前の2000年8月には、三菱商事、タカラなど合計13社に対して総額11億円の第三者割当増資を実施したときの1社にフジテレビが含まれていた。さらに、ジャスダック市場に上場(2001年3月)後の2002年6月には、フジテレビ、テレビ日朝日など10社に対して第三者割当を実施して合計12億円億円を調達している。
その後も電通、NEC、三菱商事、タカラなどに第三者割当増資をして継続して資金調達を図ると同時に、学習研究社、証券専門紙の日本証券新聞(現在は他社に売却)に出資し、情報通信開発の本多エレクトロン、動画ソフトのNECインターチャンネル、欧州最大の携帯コンテンツ会社、中国の携帯コンテンツ大手、仏プロサッカーチームなどを相次いで買収してきた。
そして、2005年5月には、2006年月にタカラとトミーが合併して設立する新会社に出資して、筆頭株主になることを発表している。インデックスは上場後すでに合計300億円の資金調達をを行い、40社を超える買収を実現してきた。
有力なコンテンツを求めて資本提携やM&A攻勢をかけているという点では、あのライブドアと類似しているといえる。しかし、ライブドアのように“拒否反応”されずに済むのか。外国証券のネット関連業種担当のアナリストは「今回の在京テレビ局との資本・業務提携についても、すでに、上場前の時点である5年も前から布石を打ちはじめている。その間も信頼関係を徐々に築きながら、少しずつ提携関係を強めてきている。買収でもほとんどのケースで、落合正美会長が直接交渉に当たり、十分な準備に基づいて実行しているという。せかせかと上から敵対的M&Aで臨む姿勢とは大きく異なる」としている。
ただ、インデックスは、株価面では2005年に入ってからは緩やかながらじり安傾向が続いていた。1月6日の年初来高値29万9000円からほぼ一貫して下落傾向を強め、5月18日には年初来安値の21万7000円をつけていた。こうした、これまでの株価の低迷と今後の株価の動向について市場関係者は「ネット関連の新興企業に共通する問題だが、膨大な買収や投資が先行して入る割に具体的な利益成長のイメージが不透明なままと受け止められている点が株価上昇の妨げとなっているようだ。しかし、今回の在京テレビ局との資本・業務提携の内容が具体的に公表された場合、株価の反転上昇の大きなキッカケとなる可能性となりそうだ」としている。
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