スマートフォンが目新しいものからポケットに入る日常的なアクセサリーへと進化する中で育った最初の世代であるZ世代が、意外にも折りたたみ式携帯電話を選ぶようになっている。
Appleやサムスンなどの企業は、スマートフォンの世代が変わるたびに機能を進化させ、そのすべてを映し出す大きな明るい画面にわれわれの目を釘付けにしている。しかし、Z世代はスマートフォンに、より多くではなく、より少なくを求めている。心の健康を守るだめだ。
解決策となるのが、情報過多を文字通りシャットアウトできる折りたたみ式携帯電話だ。
聞き間違いではない。安らぎを求めていつも「ドゥームスクローリング」(ネットで悲観的な情報ばかりを探して見ること)をしている世代が、行きすぎたコンテンツ消費から身を守るため、自ら進んで2000年代に戻ろうとしているのだ。
BuzzFeedの記者で23歳のFjolla Arifi氏は、折りたたみ式携帯電話だけを1週間使ってみた後、ABC Newsの取材に対し次のように話した。「友人や家族ともっとつながっている感覚を得たかったのだと思う。それに、画面を見る時間も減らしたかった」
1996年以降に生まれた「Z世代」と呼ばれる世代が動画を見ている時間は、1日平均7.2時間に及ぶ。視聴できるコンテンツが常にあるため、多くのZ世代は「TikTok」や「Instagram」でいつの間にか「ドゥームスクローリング」をしている。
スマートフォンやソーシャルメディアが広く普及し、若者はアルゴリズムによってスマートフォンを手放せない状態になっている。戦略的に選別されたフィードとドゥームスクローリングが組み合わせられることで、多大な時間を浪費するようになるばかりでなく、心の健康にも有害な影響が及ぶ。
TikTokユーザーの「@skzzolno」は、自分と友人たちが折りたたみ式携帯電話しか持ち歩かない理由について、「夜遊びで起こる問題、自分たちが泣くことになる問題や、嫌な思いをすることになる問題すべてがスマートフォンのせいだと気付いた」からだと説明している。
Z世代にとって、折りたたみ式携帯電話を選ぶ理由は、2000年代に広まっていた美意識を求めるだけでなく、まだテクノロジーが消費一辺倒ではなくアクセサリーだった時代を見直すことにあるのかもしれない。
Z世代の「@skzzolno」はTikTokで、「大学に関わる悪いことをすべて消し去って、携帯電話のあらゆる良いところを引き出してくれる。例えば、人とつながったり、人と一緒に写真や動画を撮ったり」と話している。
Z世代は、画面を見る時間を減らすための手っ取り早い解決策として折りたたみ式携帯電話を選ぶようになっているが、スマートフォンは依然として市場を支配している。2022年第1四半期だけを見ても、Appleは北米で2000万台の「iPhone」を出荷した。Appleやサムスンのスマートフォンシェアが近いうちに急減することはないだろう。その代わり、ユーザーは電源を切ったり、画面を見る時間を制限したりする可能性はある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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