築約90年の古民家が「XR HOUSE」に--大和ハウスら、建物×デジタルの実証実験

 大和ハウス工業、バンダイナムコ研究所、ノイズは6月2日、東京都品川区の古民家を改装した「XR HOUSE 北品川長屋1930」で共同の実証実験を開始すると発表した。建物とデジタル技術を組み合わせて創出する新しい価値を検証していくという。エンターテインメントや建設、大和ハウスグループ内など、さまざまな業界の知見者に披露することで、リアルとバーチャルをつなぐ新たなアイデアの創出を目指す。

XR HOUSE。障子×デジタル。障子を開くと屋外の景色が広がるような映像が映し出される
XR HOUSE。障子×デジタル。障子を開くと屋外の景色が広がるような映像が映し出される

 XR HOUSE 北品川長屋1930は、築90年以上の古民家群のうち、1棟の内部を改装したもの。設計事務所であるノイズの豊田啓介氏が大和ハウス工業に「未来の暮らし」にエンターテインメントの視点を取り入れる提案をし、ノイズと共同研究の実績があり、「XR技術」の研究開発を手掛けるバンダイナムコ研究所とワークショップを実施した結果、3社共同プロジェクトとして実施することになったという。

「XR HOUSE北品川長屋1930」外観
「XR HOUSE北品川長屋1930」外観

 人の動きに家が音と光で反応する空間を1階、障子、襖、畳にデジタルな表現を加えた場所を2階に用意し、建物にデジタルとエンターテインメントの要素を取り入れていることが特徴。リアル世界とバーチャル世界の共生を目指したという。

 1階では天井から吊り下げられたLEDにジャイロセンサーを備え、LEDを触ったり、動かしたりすると明かりが灯る仕掛け。室内にはLiDAR(ライダー)も配置し、人がいる場所を検知し、それに応じてプロジェクターが映し出す映像を変える。

1階の様子。触ることでLEDが光ったり、人の動きを感知してプロジェクターの映像が変化する
1階の様子。触ることでLEDが光ったり、人の動きを感知してプロジェクターの映像が変化する

 2階は、バンダイナムコ研究所がメインで作成した障子+デジタル、襖+デジタルの2部屋を用意。障子を開けると雨が降りしきる屋外空間がプロジェクターによって映し出される仕組み。襖も同様に開けると、もうひと部屋あるような屋内空間を映し出す。

 障子や襖を開けるという日常的な動作がトリガーになり、映像を映し出すことがポイントで、「バンダイナムコは数多くのゲームを作成しているが、どれも取扱説明書などを見なくても使えることが重要。そうした考えから、障子や襖を開けるという日常の所作で映像を呼び出せるようにした」(バンダイナムコ研究所)とする。

柱に取り付けられたインターフェースで、映し出す映像を切り替えられる
柱に取り付けられたインターフェースで、映し出す映像を切り替えられる
襖×デジタル。もうひと部屋あるような屋内空間を映し出す
襖×デジタル。もうひと部屋あるような屋内空間を映し出す

 開け閉めの動きに映像を連動させるため、通常のセンサーではなく、ゲーム機のボードを応用することで、精緻な動きに反応できるようにしているとのこと。映像は複数用意しており、中には神社の境内を映し出したものもあったが、お賽銭を供える音が再現されるなど、リアルな体験ができた。

ゲーム機のボードを応用することで、精緻な動きに反応できるようにした
ゲーム機のボードを応用することで、精緻な動きに反応できるようにした

 室内にはスピーカーを4つ設置し、立体音響を再現。2部屋とも畳にはノイズがデザインした「ボロノイ畳」を採用した。ボロノイ畳は、ユニークな分割パターンで生成されているため、どんな場所にもフィットすることが特徴。襖の部屋では畳の間にLEDを組み込み、襖が開くと光る演出がされていた。

畳の間にLEDを組み込み、襖が開くと光る演出がされていた
畳の間にLEDを組み込み、襖が開くと光る演出がされていた

 実証実験期間は8月31日まで。今回の実証実験では、生活空間を拡張してデジタルとつなぐことを主眼に据えており、業界を横断することで全く新しい価値を提供していきたいとしている。

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