大和ハウス工業、パナソニック、アスカネットは1月13日、「空中タッチインターホン」の共同実証実験を開始したと発表した。集合住宅における空中タッチディスプレイを活用した実験は業界初となる。
空中タッチインターホンは、大和ハウス工業が開発中の分譲マンション「プレミスト津田山」のマンションサロンエントランス(神奈川県川崎市高津区溝口2-26-8)に設置。1月15日から6カ月程度、来訪者に使ってもらい、画面の高さや明るさ、使いやすさ、耐久性などを調査する。
7インチのモニターに赤外線センサーを備え、人が近づくとモニターが点灯し、指などを近づけると空中にディスプレイがあらわれる仕組み。アスカネットが開発した「ASKA3D」を搭載し、光の反射を利用して空中に映像を表示しているという。隣や後ろから画面が見えづらく、セキュリティ性も確保する。
アスカネット 空中ディスプレイ事業部スペシャリストの大坪誠氏は「空中ディスプレイは、スマホやタブレットなどの画面部分を空中に浮かして使用できるもの。特殊な光学プレートと赤外線センサーを組み合わせることで指操作を実現した。裸眼でも見られるほか、顔を動かしても認識できる点などが特徴。今まではエンターテインメント方面での活用を続けてきたが、住宅設備やビルなどにおける利用も模索していた」と新たな領域に踏み出す。
空中タッチインターホンの実証実験は、大和ハウスが推進する「マンション共用部の総非接触化」の一環として実施するもの。大和ハウス工業 マンション事業本部商品企画統括部次長の瀬口和彦氏は「コロナ下において、マンション内における非接触のニーズは高まりつつある。大和ハウスでもスマートキーや非接触で使えるエレベーターの採用に取り組んでいるが、一点だけできない部分があり、それが来訪者の方が使うインターホン。なんとかできないかと考えてできたのが、空中タッチインターホンの試作機」ときっかけを話した。
大和ハウスが実証実験の場の提供や、技術を補佐し、パナソニックがインターホンとつながる機器の連携や全体の調整を担当。アスカネットは空中ディスプレイ技術を提供した。
パナソニック エレクトリックワークス社エナジーシステム事業部部長の猶本陽介氏は「コロナの影響によりマンションでは、衛生意識が高まったほか、外出抑制によるEC利用が増え、来訪者が増加するという2つの変化が起こった。そうした動きを受け、大和ハウス工業が提唱する『共用部の総非接触化』には共感を抱いている」とコメントした。
今後については「既存マンションへの導入も考えられるほか、AIを組み込みコンシェルジュ機能をもたせるなど、広がりも検討できる。オフィスや店舗などへの導入も考えられる」(大和ハウス工業 総合技術研究所技術支援室主任研究員の山下信雄氏)とのこと。
空中タッチインターホンは、プレミスト津田山のマンションサロンにのみ置かれ、プレミスト津田山には導入されない予定。パナソニックの猶本氏は実用化の時期について「実証実験後1年程度をメドに商品化したい。大和ハウス工業の物件から導入していければ」とした。
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