ディズニー映画とそのキャラクターたちを現実の世界へ連れてくる――これを仕事にしているのが、Walt Disney Imagineeringで働くイマジニアたちだ。Walt Disney Companyの一部門である同社では、Disneyの映画やアニメが生み出す魔法をDisneyのテーマパークで再現するために、芸術や科学のあらゆる分野から集まった「イマジニア」と呼ばれる専門家たちが働いている。
イマジニアたちが作っているのは、Disneyのテーマパークに設置される複雑なアトラクションだ。例えば、カリフォルニア・アドベンチャー・パークで稼働中の「アメイジング・スパイダーマン」のスタントショーは、Marvelの「スパイダーマン」の世界をリアルに再現したもので、スパイダーマンが空中をスイングし、ゲストを物語の世界に誘う。このショーの実現には何年もの時間を要した。1つの理由は、空を飛ぶスパイダーマンが実はスタントロボットだからだ。
どうすれば「スパイダーマンを作る」という夢のような仕事に就くことができるのだろう。米CNETはDisneyのイマジニア、Morgan Pope氏にインタビューし、Disneyで働くまでの経緯と、この機械仕掛けのMarvelヒーローが誕生したいきさつを聞いた。
Pope氏は、Walt Disney Imagineeringのリサーチサイエンティストだ。同氏は数年にわたり、「スパイダーマン・スタント・ショー」に登場するロボットの製作・開発に携わった。
「Disneyの仕事は、“魔法”を作っているという点で普通のロボット工学の仕事とは違う」と、Pope氏は自分の仕事を説明する。日によって、仕事内容ががらりと変わることも少なくないという。
プロジェクトの進捗に合わせて物理的に何かを作る日もあれば、ファームウェアをいじる日、テスト用の小さな機械を組み立てる日もある。今の仕事でPope氏が特に気に入っているのは、一緒に働いている仲間だ。
「自分の仕事を心から楽しんでいる優秀な人たちのチームで働けるのは、本当に特別な経験だ」と同氏は言う。
Pope氏の専門分野はロボットと物理学だ。スパイダーマンのプロジェクトでは、機械工学とデザインの学位を持つ技術者のTony Dohi氏と組むことが多かったという。このプロジェクトには、Dohi氏の他にも多くの人が参加しており、その数は最終的に100人を超えた。
時計の針を戻そう。Pope氏はハーバード大学で物理学を専攻していたときにロボット工学と出会った。きっかけは、ロボットを研究していた大学院生との出会いだ。
同氏はこう感じたという。「すごい、これまでで最高にクールだ。自分に同じことができたら素晴らしいのではないか?」。この出会いがもたらした興奮はいつまでも収まらなかった。数カ月後、Pope氏は専攻を変えることを決意し、スタンフォード大学で機械工学の博士号を取得した。大学院では、よじ登ったり、滑空したりする小さなロボットを研究した。同氏が後にスパイダーマンのロボットを作ることになると考えると、その奇妙な符合に驚かされる。
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