三菱地所レジデンスは1月12日、CO2排出量を2030年までに2019年比で50%削減する「三菱地所レジデンスCO2排出量削減戦略」を発表した。創エネシステム「soleco(ソレッコ)」を始めとした取り組みを継続してきた実績などを踏まえ、脱炭素社会の実現を加速させる。
solecoは、三菱地所レジデンスが2010年から原則総戸数40戸以上の新築分譲マンションに導入している仕組み。高圧一括受電と太陽光発電パネルを組み合わせた創エネシステムで、毎月の電気使用料が10%安くなるほか、昼間の共用電力使用料を削減できるなどのメリットを持つ。
2021年には、東京ガスと共同で、太陽光発電による電力と非化石証書付きの電力を活用し、専有部、共有部の電力を再生可能エネルギー化する「soleco+(ソレッコプラス)」も開発。一括高圧受電方式ではない賃貸マンションにも太陽光発電を設置できるスキームを整えた。今後は、カバー範囲をさらに広げ、総戸数40戸未満の物件にも太陽光発電パネルを設置していくという。
このほか、マンションの全電力を非化石化、すべての新築分譲マンション、新築賃貸マンションで、住棟全体で正味20%以上省エネを実現する「ZEH-M Oriented」以上を標準仕様とするなどの施策を実施。新築分譲マンション「ザ・パークハウス」と新築賃貸マンション「ザ・パークハビオ」ともに対応可能な物件からZEH化し、2025年度には販売開始、賃貸募集するすべての物件をZEH-M Oriented以上とすることで、入居者が使用するエネルギーを2割程度削減できるとしている。また、大規模物件ではソレッコと九州電力のEVカーシェアリングサービス「weev(ウィーブ)」を連動し、太陽光発電の電力を電気自動車の充電に活用するカーシェアリングサービス「soleco EV share」の導入を進めるなど、電気自動車の普及も促す。
同日には、千葉県浦安市の分譲マンション「ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ」(新浦安マリンヴィラ)の第1工区が2021年10月に竣工し、2022年1月下旬から入居が始まることも発表。こちらは、住棟全体で正味50%以上省エネを実現する「ZEH-M Ready」基準に適合し、環境にやさしく、持続可能性を追求した住まいづくりを採用しているという。
第1工区の総戸数は234戸。平均専有面積は96平方メートルで、全145タイプのルームプランを用意する。JR京葉線、武蔵野線の「新浦安」駅から、バス13分の場所に位置し、販売価格は5148〜9998万円。
低層15棟の住棟構成により、広い屋根面積を確保できることが特徴で、それを活用し、太陽光発電パネルを設置。「低層4階建ては、屋根面積がものすごくとれる。中高層マンションは戸数に比べ屋根面積が少なく、発電量は5〜10kWhだが、新浦安マリンヴィラは450kWhを確保。低層マンションならではの仕組みを構築できた」(三菱地所レジデンス 専務執行役員の唐澤眞二氏)と十分な発電量を確保する。
加えて、通常は深夜電力でお湯を沸かし保温する「エコキュート」を日中でもお湯が沸かせるように改良。これにより、太陽光エネルギーをお湯に変えて蓄熱することに成功。蓄電池なしで、日中の太陽光発電電力を100%使い切れるという。
三菱地所では、この仕組みを新エネルギーマネジメントシステム「Solei-Yu(ソレイユ)」として構築。一括受電と太陽光発電を組み合わせた電力供給体制を構築できたとしている。
物件内には「コ・ワーキングラウンジ」やパーティースペースなど12の共用施設を設置。TSUTAYAセレクトの蔵書をそろえた「ヴィラハウス(ブックカフェ)」やボーネルンドがプロデュースした「キッズルーム」などを用意する。
三菱地所レジデンス 社長執行役員の宮島正治氏は「コロナ下で働き方が変わり、郊外の広い住宅の良さが再認識された。新浦安マリンヴィラでわかったのは、環境に関するキーワードに注目する人が増えてきたこと。環境まできちんと考えたマンションは将来的に資産価値にも違いが出てくるのではないかと考えている」とコメントした。
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