積水ハウスは2月25日、太陽光発電システムや高断熱サッシなどを採用し、冬暖かく、夏涼しい暮らしが消費電力を抑えて実現できるゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を賃貸住宅「シャーメゾンブランド」で本格展開すると発表した。一般的な賃貸住宅と比較し、CO2 排出量を93%、光熱費を39%削減できるとしている。
同社では、居住のCO2を減らすZEHを戸建て住宅において展開。すでにZEH住宅比率は87%と大手メーカーでは世界一を記録。累積ZEH棟数も5万1793棟にのぼる。どんな屋根の形状でも端まで設置ができる瓦型の太陽光電池の採用や断熱に配慮しながら大きな窓を設置できるなどの特徴を持つ。
積水ハウス 常務執行役員環境推進担当の石田建一氏は「日本の住宅におけるCO2排出は戸建てが7割で賃貸が2割、マンションが1割程度と言われており、賃貸は非常に重要。今までは戸建てに注力してきた、これからは賃貸にも力を入れないといけない。Z世代、ミレニアル世代と呼ばれる若い人たちは、フェイクミートやリサイクルのファッションなどに興味を持っているが、住環境への関心は低い。なぜなら若い世代の人がZEH住宅を建てるのは難しいから。そんな若い人が求める住まいを提供したい」と賃貸住宅への思いを明かした。
賃貸 ZEHでは、高効率エアコン、LEDなど高効率設備の採用による「省エネ」と太陽光パネルの「創エネ」を組み合わせることでCO2排出量と光熱費を削減するというもの。同日公開された「シャーメゾンZEHモデルハウス」は、6部屋に太陽光発電と蓄電池を備え、入居者が太陽光発電のメリットを享受できる入居者売電タイプ。試算によると、一般的な賃貸住宅の年間光熱費18万5000円に対し、シャーメゾンZEHでは11万3000円と、月平均で約6000円の光熱費削減が期待できるという。
停電時には、スマートフォンの充電やテレビなどの電源を太陽光発電から確保。モデルハウスで採用しているパナソニック製の「HEMS(AiSEG2)」と組み合わせれば、大雨や暴風などの警報の発生にあわせ、停電時備え自動で蓄電池に充電される仕組みを採用しているという。通常時でも電力使用量を見える化したり、エアコンや照明器具などと連携してスマートフォンから操作できたりする機能も備える。
「停電時でも安心という非常に大きなメリットがある。実際に住んでみると光熱費の削減や断熱性の高さなど、そのメリットを実感される入居者の方は非常に多く、満足度は92%という大変高い数字になっている。オーナーの方にとっても、高い入居率を実現できるほか、家賃アップにもつながる」(石田氏)と自信を見せる。
住居は断熱材でぐるりと囲いながら、外側がアルミサッシ、室内側は樹脂を採用した窓を採用することで、大きな窓を確保しながら断熱性能を維持。ペアガラスは一定量の日射熱を取り込むようになっており、ヒサシをつけることで夏場の直射日光が入りにくい構造にしているという。冬暖かく、夏涼しい快適性と窓が大きく、明るいという住まいの両方の価値を提供する。
石田氏は「積水ハウスでは、過去5年間の売上が13%増加、CO2排出は20%減少しており、企業の成長とCO2排出削減を両立させ、CO2の削減目標が企業の成長を妨げないことを証明している。これからは脱炭素をビジネスにすることが非常に重要」とコメントした。
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