Amazonは快適な職場であり、顧客に低価格を保証しつつ迅速に商品を配達する企業だ。2022年には、そんな話が飛び交っているかもしれない。オンライン小売大手の同社が、躍起になってそうしたメッセージを発信する理由が、2021年を振り返ると見えてくる。
Amazonにとって2021年は、アラバマ州ベッセマーにある倉庫での労働組合結成をめぐる闘争に明け暮れる1年だった。春に実施された投票で、従業員は労組結成を否決した。だが、最近になって連邦労働当局は、Amazonがそのプロセスに干渉したとして、投票のやり直しを命じた。Amazon側は上訴する構えをみせている。
もちろん、Amazonの2021年を飾った劇的な出来事は、この労組結成をめぐる投票だけでない。2月には、創業者のJeff Bezos氏が最高経営責任者(CEO)を退任すると発表し、創業27年を迎えた7月には、古株であるAndy Jassy氏がBezos氏の後任に就いた。10月の決算報告では、近年にない利益減を発表している。好調だった収益報告が途切れる形となったが、その原因は人件費と倉庫の運用経費が急増したことにあった。
反トラスト法の改革を訴えるLina Khan氏が、上院による承認を経て米連邦取引委員会(FTC)の委員長に就任すると、Amazonは先手を打ってKhan氏の不関与を求めた。不当な独占と告発されることを恐れたためだ。一方、家庭用の新しい監視ロボット「Astro」の発表という軽い話題もあった。
Amazonは自社について、従業員に対して公正かつ寛容であり、価格の低さは消費者の利益になっている、と主張する。また、議論にかかわらず、顧客はAmazonを歓迎しているようだという点は注目に値する。
この問題にAmazonは詳しく回答しており、同社は従業員と消費者双方にとっての善行に努めているほか、反トラスト法に違反しているという論争は不首尾に終わる、などと話した。
「われわれは日頃から、職場の改善策を模索する人々を応援しており、策が見つかったときには変化を起こしたいと考えている。なるべく迅速に」と、Amazon広報担当のBarbara Agrait氏はメールで述べた。Agrait氏はさらに、同社の従業員にとって労働組合が正しいアプローチだとは思わないと付け加え、Amazonが独占企業だという指摘も見当違いだと話している。
問題が大きくなるほど、Amazonは自己主張の声を大きくしそうだ。従業員の不満、利益の減少、規制の強化の危機に対してAmazonがどう取り組んだか、その経緯を確かめておこう。
従業員をめぐるAmazonの苦難は、アラバマ州の倉庫における労組の問題だけではない。ニューヨーク市のスタテンアイランド区では、活動家が新しい労働組合を、おそらく2022年に向けて結成しようとしている。連邦労働法を執行する全米労働関係委員会(NLRB)は、ストライキを組織した従業員に対してAmazonが報復的な対応をとったという複数の訴えを審議してきた。一定の傾向が疑われる場合には、さらに広い調査に乗り出す権限がNLRBにはある。
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