Mobility Technologiesは10月14日、同社が提供するタクシーデリバリー専用アプリ「GO Dine(ゴーダイン)」で、銘店のおせち料理をタクシー乗務員が年末年始に配達する「おせちデリバリーサービス」をスタートすると発表。予約受付を開始した。
発表会には日本交通株式会社代表取締役会長でMobility Technologies代表取締役会長の川鍋一朗氏が登壇し、「タクシーでものを運べるようになるのはタクシー業界の長年の夢だった」と語った。
「大正元年に(タクシーが)始まって、2020年に108年目にして初めて人以外のものを運べるようになった。ちゃんとしたスーツを着て、自転車などで(運ぶことで)お料理が崩れてしまうこともなく、遠距離でも運べる。高級飲食店のデリバリーは、誕生日などの記念日にご利用いただいており、今はうなぎ上りでオーダーをいただいている」(川鍋氏)
続いてMobility Technologies GO Dineビジネス部 部長の萩原修二氏が登壇。GO Dineをスタートした経緯や、おせちデリバリーサービスをスタートする狙いについて解説した。
もともとGO Dineが誕生した経緯は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うフードデリバリーのニーズ拡大を受け、国土交通省が2020年4月にタクシー事業者に対する食料等の運送を許可したことにあった。
「タクシー会社で最初に手がけたのが日本交通で、ウルフギャング・ステーキハウスや中国飯店 富麗華(ふれいか)といった高級レストランのデリバリーを始めて、多くの利用者があった。『タクシーなら、うちの料理を預けて大切なお客様にお届けしてもいい』と、ほかの高級レストランからも引き合いが多くあった」(萩原氏)
当初は客が店舗に電話して注文し、店舗がタクシー会社に電話で手配。受け取りも支払いもタクシーで行うというものだった。それをスマホアプリの「GO Dine」を開発することで解消。アプリから簡単に注文・決済ができ、商品の配送状況もアプリで見られるようになった。
萩原氏は、「希望のお届け時間に届ける移動時間予測、駐停車の対応なども含めて、われわれが入ることで解決した。GO Dineは2021年5月にリリースしており、今は分かりやすく『高級レストラン専門のタクシーによるフードデリバリーサービス』というふうに伝えている。特徴はタクシーで運ぶ点と、高級レストラン中でもより厳選された店舗に参画いただいていること。サービス当初は50店舗ぐらいだったが、今は78店舗まで店舗も増えてきている」と説明した。
サービス面では、店舗の手数料が低めなのが大きな特徴だという。
「一般的には店舗への手数料が35%以上と言われているが、それでは店舗の方で回収できないため、料理代金に転嫁される。われわれは配送運賃を2000円から設定しており、それをユーザー負担とすることで、店舗への手数料は低く抑えている」(萩原氏)
萩原氏はある店舗の同じメニューを挙げて、その魅力をアピールした。他社のサービスだと店舗側の手数料が料理代金に転嫁されて高くなるのに対し、GO Dineは大幅に抑えられる。配送料は他社は数百円、GO Dineは2000円以上かかるものの、高級料理ほどトータルでは安く抑えられるというしくみだ。
配送地域は当初は都内11区のみだったが、現在は16区にまで拡大。今後は23区まで広げる予定とのことだ。
現在の利用状況は平均単価が2万6402円(料理代金2万2768円、運賃3634円)と、一般的なフードデリバリーサービスに比べてかなり高い。
利用者に対してアンケートを実施したところ、回答者合計204件のうち次回も利用する意向は95%とかなり高いという。利用目的は「日常の食事」が約45%で、「家族やパートナーの誕生日や記念日」が約40%、「仕事関係で利用」が約10%に上る。
「フードデリバリーが広がる中で、高単価も広がると見ている。記念日や誕生日の利用がGO Dineの特徴だが、利用シーンも広がっている。ただおいしいものを食べたいだけでなく、大切な人の大切な日のおもてなしとして使われている。子供がいるといいレストランに行きづらい、両親となかなか一緒に行けないなど、自宅でおいしいものを食べたいというニーズはあったが、それに見合う配送手段が今までなかった。タクシーによるデリバリーがそれにマッチし、高級レストランのデリバリーならではの利用が広がっているのではないか」(萩原氏)
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