本田技研工業(ホンダ)は、新たな事業領域として、垂直離着陸可能な電動飛行機(eVTOL)、人の分身となるアバターロボット、月面向け循環型再生エネルギーシステム、再使用可能な小型ロケットなどを発表した。
ホンダは、「2030年ビジョン」として「すべての人に『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する」という目標を掲げている。これを実現させるため、同社のコア技術をいかしてeVTOLやアバターロボット、宇宙分野といった新領域での事業開発に取り組む。
開発する「Honda eVTOL」は、電動モーターとガスタービンを組み合わせたハイブリッド方式とする。これにより長い航続距離を実現し、都市間移動の手段として提供する考え。同時に、自動車のような地上の移動手段(モビリティ)と連携するシステムを構築していく。
Honda eVTOLで実現するモビリティエコシステム(出典:ホンダ/YouTube)
「Hondaアバターロボット」は、分身のように遠隔操作で制御可能なロボット。距離や身体の制約にとらわれず、自分の分身を派遣するような使い方ができて、自己能力の空間的拡張を可能にするものだ。2023年度中に技術実証を始められるよう開発中のロボットは、小さなものを“つまむ”繊細さと、固い蓋を開けるような力強さを「人並みに両立できる」多指ハンドを搭載する。2030年代の実用化を目指す。
Hondaアバターロボットが活用される世界(出典:ホンダ/YouTube)
さらに、宇宙分野の研究開発を加速していく。
その1つは、月面での活動を支援するための循環型再生エネルギーシステム。同システムは、月に存在するといわれる水を再生可能エネルギー由来の電力で電気分解し、水素と酸素に分けて貯蔵する。この水素と酸素は、燃料電池に供給して発電することや、人間の呼吸用、ロケットの燃料として利用可能だ。
また、Hondaアバターロボットの技術を応用し、月面向けの遠隔操作ロボットを開発する。人間が作業する場面を減らすことでのリスク削減、地球からの遠隔操作などが狙いだ。
小型ロケットは、ホンダの持つ燃焼、流体、制御、誘導といった技術を活用して開発し、低軌道向け小型人工衛星の打ち上げに使う。ロケットの一部は、打ち上げ後に着陸させて再使用可能なものにする。
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