米連邦取引委員会(FTC)のLina Khan委員長は、職員に宛てた米国時間9月22日付のメモで、反トラスト法(独占禁止法)を執行する上での自身のビジョンと政策の優先項目について説明した。
このメモからは、消費者の保護を任務として5人の委員で構成されるFTCをKhan氏がどのように率いていく計画なのかが垣間見える。Khan氏率いるFTCの新たな方向性は、Amazon、Apple、Facebook、Google、Microsoftなどの大手IT企業に大きな影響を与える可能性がある。規制当局や政治家らはこれらの企業の力を抑えるべきだと訴えており、各社に対する監視の目は厳しくなっている。FTCは、米司法省とともに反トラスト法の執行を担っており、不公正なビジネス慣行やプライバシーの侵害から消費者を保護することを任務としている。
Khan氏はメモの中で複数の戦略的原則について概要を示しており、その中には「有害性を明らかにするための包括的なアプローチ」の実施が含まれる。Khan氏は、反トラスト法違反によって損害を被る可能性があるのは消費者だけでなく労働者や他の企業なども同様であることを認識すべきだとした。これは、消費者の被害だけに焦点を当てて反トラスト法を執行するという一般的な見解からの転換となる。
Khan氏はまた、合併を審査するにあたっては「一時的な影響を見るのではなく、根本原因を対象にする」ことを提案している。ビジネスモデルや利益相反がどのように反トラスト法上の損害になり得るかを評価することが重要だという。その他の重要な原則として、FTCは「将来を見据え」、より迅速に行動して被害を軽減する必要があるとしている。その一環として、「次世代技術、イノベーション、セクターの枠を越えた新興産業」に特に注意を払うよう求めている。
Khan氏は、具体的な政策の優先項目として次の3点を挙げた。
Khan氏はまた、FTCはその知識や能力を広げ、科学技術者や金融アナリストなど異業種の専門家をもっと雇用して、既存の人材を基盤に学際的アプローチで市場を分析できるようにするべきだとしている。
Khan氏のメモは、上院が同氏の委員長就任を承認してから3カ月というタイミングで送付された。進歩派の人々はKhan氏の委員長就任を歓迎し、同氏が反トラスト法の改革者として、ビッグテック(大手テクノロジー企業)の力を抑えるには無力だと広く考えられてきたFTCに新たな視点をもたらすことを期待している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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