Appleはこの数年、ヘルスケアの分野で大きな夢を抱いてきた。だが、米国時間6月16日付のThe Wall Street Journal(WSJ)の記事によると、これらの野心的な取り組みは足踏み状態にあるようだ。記事ではこの件に詳しい情報筋の話として、ヘルスケアの世界を刷新することを目指した同社の計画の多くが、勢いを得られず苦境にあると伝えている。
記事によれば、Appleは自社で採用した医師により、自社の診療所で独自のプライマリーケア(一次診療)を提供する計画を立てていたという。この計画を進めるため、Appleは従業員に医療を提供していた診療所を買収し、臨床医、エンジニア、製品デザイナーなどからなるチームを結成したと、WSJは報じている。だが、この遠大な構想が行き詰まりを見せる中、同社はヘルスケア事業の軸足を、このようなサービスの提供から「Apple Watch」などのデバイスの販売に移したとのことだ。
WSJによると、このプライマリーケアサービスはまだ立ち上がっていない上、2021年に入りひっそりと導入されたデジタルヘルスアプリも、ユーザーの取り込みという点ではそれほどの成功を収めていない。さらに、製品開発に利用されているAppleの診療所から収集した健康関連データの信頼性について、一部の従業員から疑問の声が出ているという。
Appleは当初、同社のデバイスで生成されたデータを、Apple所属の医師が提供するリモートまたは対面の診療と結びつけた医療サービスの提供を計画していたようだ。また、サブスクリプション型のヘルスプログラムを通じて、プライマリーケアと継続的な健康状態のモニタリングを提供する計画もあったと、WSJは報じている。このようなプログラムが人々の健康増進や医療費削減に役立つことが証明されれば、このプログラムを医療機関や他の国にフランチャイズ展開することも可能になると、WSJが確認した文書には書かれていたという。
このサービスを試験的に実施するため、Appleは本社近くでスタートアップ企業が運営していた従業員向け診療所を買収したという。また、スタンフォード大学のSumbul Desai博士を2017年に迎え入れ、「Casper」というコード名がつけられたこの構想の責任者に任命した。今もこのプロジェクトは継続中だが、初期段階から抜け出すことができずにいる。報道によれば、Desai氏のチームには批判的な意見を受け付けない組織文化があり、多くの従業員がこのチームを離れたという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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