Appleの動画チャットサービス「FaceTime」は2010年からあるが、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックで、動画チャットは仕事でもプライベートでもその重要性が増している。
Zoomに一人勝ちさせたくないAppleは、開発者会議「WWDC21」でFaceTimeの複数のアップデートを発表した。その幾つかは、Zoomに既にあるような機能だが、例えば「SharePlay」のような機能はまったく新しく、友人とバーチャルで集う素晴らしい方法を提供してくれそうだ。
FaceTimeの新機能を紹介しよう。
FaceTimeアプリで他のFaceTimeユーザーを呼び出す通常の方法は電話をかけるのに似ているが、友達や家族、同僚に送る招待リンクを生成できるようになる。これにより、ミーティングを始める時点で相手を呼び出すのではなく、カレンダーでリンクを共有することでミーティングをスケジューリングできるようになる。
FaceTimeはこれまで「iPhone」「iPad」「Mac」でしか利用できなかったが、招待リンクを使うことで、AndroidまたはWindowsのユーザーも動画チャットに参加できるようになる。招待リンクを受け取った相手は、どんなデバイスを使っていてもブラウザーから動画チャットに参加できる。しかも、Appleはウェブ上のチャットもエンドツーエンドで暗号化されていると説明した。
FaceTimeアプリで使えるようになる新しい「声を分離」機能は、周囲の騒音を遮断するというものだ。Appleは、FaceTime中のユーザーの後ろでうるさい落ち葉掃除機を使っているデモで、「声を分離」機能を有効にすると、ユーザーの声だけが聞こえるようになることを示した。実際にどの程度機能するのかはまだ分からないが、このデモは確かに印象的で、騒がしい場所での通話に適しているように思われた。「声を分離」と反対に、周囲のすべての音も届けたい場合は「ワイドスペクトラムオーディオ」を選択する。
また、動画チャットの相手が同じ部屋にいるように感じられるよう、「空間オーディオ」をFaceTimeでも採用した。グループで会話する場合、相手の声がその相手がディスプレイに表示されている方角から聞こえる。
「A12 Bionic」以上を搭載するiPhoneと「iPad」、および「M1」を搭載する「Mac」では、深度センサー付きカメラを使ってFaceTimeでも背景ぼかしが可能になる。Zoomにも同じ機能があるが、そちらはソフトウェアベースなので、Apple版ぼかしの方がきれいに話者を切り取れる可能性がある。
「SharePlay」は、FaceTimeを介して友人や家族と完全に同期しつつ映画を見たり、音楽を聴いたりする機能だ。例えば、映画の「シュレック」を友達と一緒に見たいとしよう。SharePlayを使うと、自分と友達のデバイス(iPad、iPhone、Mac、Apple TV)で同時に映画が始まり、同じ部屋で一緒に鑑賞しているような体験ができる。見ているものが何であれ、鑑賞中の誰もが一時停止や巻き戻しをできる。また、FaceTime中のiPhoneやiPadからApple TVにAirPlayでストリーミングすることで、テレビの大画面で映画を見ながら手元のデバイスでFaceTimeを続けることもできる。
SharePlayは「Apple TV」と「Apple Music」だけでなく、立ち上げ段階で「Hulu」「HBO Max」「TikTok」「Disney+」「Paramount+」などにも対応する。
友達や家族がほうぼうに離れて暮らしている場合、グループFaceTimeはとても重要な機能だ。新機能「グリッド表示」は、チャットに参加している全員をディスプレイ上にグリッド状に配置し、誰が参加しているか、誰が話しているかを分かりやすくする。Zoomの「ギャラリービュー」に非常によく似ており、家族のグループ通話や仕事のチームミーティングをFaceTimeで行いたい人にとって歓迎すべき追加機能になるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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