Donald Trump米大統領は米国時間12月23日、年間国防予算の大枠を定める国防権限法(NDAA)法案に拒否権を行使した。この法案は2週間前に議会を通過している。Trump氏は、1996年に成立した通信品位法230条を撤廃する条項を議会が盛り込まなければ、法案に拒否権を行使すると脅していた。通信品位法は、ユーザーが投稿するコンテンツについてオンラインプラットフォーム企業の免責を認める法律だ。
しかし、7405億ドル(約77兆円)規模のNDAA法案は、超党派の支持を得て大差で下院を通過しており、Trump氏による署名の拒否は再採決で覆されるとみられる。NDAA法案は、部隊の人員や新たな兵器システムといった国防問題の決定に資するとされている。
Trump氏は声明で次のように述べた。「通信品位法230条の撤廃が超党派で求められているにもかかわらず、NDAA法案ではこの条項に意味のある変更を加えることすらできない。230条は、米国外から発信される偽情報がオンラインで拡散することを容易にする」
同氏は、230条を維持すれば、「米国の諜報機関が何をしているか、あらゆる段階で誰にも知られずに行うことが事実上不可能になる」と述べた。
230条は、オンラインにおける言論の自由を守る最も重要な法律と考えられている。この条項は実質的に、ユーザー生成コンテンツをホストしている企業が、自社のサービス上に投稿されたコンテンツをめぐって訴えられないよう保護するものだ。
同条項は、AT&T、Comcast、Verizonなどのインターネットサービスプロバイダーだけでなく、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアプラットフォームも保護している。
Nancy Pelosi下院議長は、大統領による拒否権の行使を「米軍に害を及ぼす驚くべき無謀な行為であり、米国の安全保障を危険にさらし、超党派的な議会の意志を損なう」ものだと批判した。下院は12月28日に召集され、拒否権を覆す採決を行うことになると同議長は述べた。
ただし、Lindsey Graham上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)は、「230条を段階的に縮小する努力が成されない限り」、拒否権を覆す賛成票は投じない考えを示している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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