Appleが「iOS」に導入しようとしているプライバシー関連の変更により、さまざまなアプリが現時点で利用している広告トラッキング機能を利用できなくなる可能性があり、この変更を批判するFacebookの新聞全面広告が米国時間12月16日に複数の米有力紙に掲載された。同社はその中で、2021年初頭に「iOS 14」に追加される予定の新機能が小規模企業を阻害することになると述べた。またFacebookは公式サイトに掲載した記事でも自社の見解を展開し、Appleの新しいポリシーは、「プライバシーよりも利益を追求するもの」と主張している。
Facebookの広告は、The Washington PostやThe Wall Street Journalなどの新聞各紙に掲載され、Bloombergがいち早くこれを報じた。
Appleは6月に開催したWorldwide Developers Conference(WWDC)で、iOSに関するプライバシー関連の複数の変更を発表しており、そのうちの1つが「App Tracking Transparency」(ATT)という機能だ。これはユーザーデータを収集するアプリについて、ユーザーにオプトアウトを求めるのではなくオプトインを求めるというもの。この変更が実施されれば、Facebookを含む各種アプリで、複数の広告トラッキング機能が利用できなくなる恐れがある。Appleは9月、開発者らに必要な変更を加えるための時間を与えるために、この機能の導入を2021年に延期することを決めた。
Facebookは以前、iOSのこの変更により、トラッキングの効果が低下するため、広告主の利益は減少することになると述べていた。16日の広告では、「パーソナライズ広告の利用方法が制限されれば、当社のような大規模な企業も影響を受けるが、小規模企業にとっては、そうした変更は死活問題だ」としている。
Appleはトラッキングに関するこの変更を、ユーザーに管理する権限を与えるものとして擁護した。同社のプライバシー責任者であるJane Horvath氏は、11月に公開した書簡の中で、Facebookのデータ収集慣行を非難し、AppleはATT機能やその他のプライバシー保護策に今後も「全力を尽くす」としていた。
16日には、Facebookで広告とビジネス製品を統括するDan Levy氏が報道陣に対し、Appleは「『App Store』での支配力を利用して、クリエイターや小規模企業を犠牲にして利益を得るという反競争的な行為をしている」と述べた。「もし各種サービスに広告が表示されなくなり、サブスクリプション料金の徴収やアプリ内決済を始めるようになれば、開発者らに課す手数料が入るので、Appleは利益を得ることになる」(同氏)。
また同氏は、この変更がFacebookの事業に与える影響は「さほど深刻にならない」見込みで、これは同社が1000万を超える広告主らとともに多面的な広告事業を展開しているためだとした。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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