新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が経済活動に打撃を与えていて、スマートフォンやタブレットの市場規模は縮小してしまった。その一方、外出自粛や都市封鎖(ロックダウン)により自宅から離れられなくなった消費者のあいだで健康管理への意識が高まったらしく、フィットネス目的でスマートウォッチを購入する人が増えた。
スマートウォッチやアクティビティトラッカーは、腕に装着して歩数や消費カロリーなどの活動量を計測できて便利だ。ただし、歩数は腕の動きから推定しているので、ウォーキングやランニング以外の動作をすると正しく計れず、腕の無関係な動きを歩数と数えて不正確な活動量になってしまう。正確な結果を得るには、運動の種類に合わせた計測方法が必要になる。
これに対しAppleは、車いすに乗っている人の活動量を計れるウェアラブルデバイス向け技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間5月12日に「DETECTING ACTIVITY BY A WHEELCHAIR USER」(特許番号「US 10,646,117 B2」)として登録された。出願日は2017年6月7日、公開日は2017年12月7日(公開特許番号「US 2017/0347885 A1」)。
この特許は、ユーザーの体に装着したデバイスを使い、車いすユーザーの活動状況を計測するためのもの。請求項(クレーム)でデバイスの種類は限定していないが、図面や動作の仕組みから、手首に装着するスマートウォッチやアクティビティトラッカーといったタイプのウェアラブルデバイスを想定していると分かる。
同特許のデバイスは、内部の加速度センサーやジャイロスコープなどで得るデータから腕の動きを取得し、車いすを前進させているかどうかなど解析する。そして、その動きから、車いすユーザーの活動量を算出する仕組みだ。
クレームでは、ローパスフィルターを使って不要なデータを取り除いたり、デバイスのGPSで移動速度を取得したりするアイデアにも言及している。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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