CNET Japan Live 2014 Winter

双方向性を生かせる、スポーツとの相性はいい--ネット動画広告の可能性 - (page 2)

 梅澤氏も、ニッチなスポーツの可能性に言及しつつ、スポーツの非言語性で動画を通じて全世界への露出が可能なことを指摘。グローバルにブランドを展開したい企業は、広告の場としてもさらなる価値が出てくると語る。

動画メディア全体のビジネスモデル構築が求められる

 確かに多くの可能性をネット動画は秘めている。しかし、コンテンツには動画権利者が存在し、その権利者との許諾交渉など問題は山積している。いまだ成長途中とはいえ、売上見込みを見いだせないとビジネスとして位置づけることも難しいと久保田氏は指摘する。その点に関して、梅澤氏は権利者との交渉、ネットへの大きなシフトを行うことの難しさを指摘する。

 権利団体との調整でも、権利者が納得するだけのビジネスモデルをどう構築できるかで、権利者との交渉も変わってくると梅澤氏。「ビジネスモデルを作り上げ、それに伴い動画広告市場が伸びてくればステークホルダーも納得してくれる」と船越氏も指摘する。

 「権利者との交渉は慎重さが必要で、いまだネットへの不信感を持つ人も多い。急にネット上で無料で出せば、既存のエコシステムを破壊する恐れがある。無料や有料などの枠を設けながら、ネット単体だけの議論ではなく、放映権などをテレビも踏まえたトータルのビジネスを考えた上で、次第にシフトしていくための施策を考えることが必要」(梅澤氏)

久保田朋彦氏
GCAサヴィアン マーケティングオフィサー/アンプリア 代表取締役 久保田朋彦氏

 ビジネスモデル構築のためにも、ネット上でのファンの行動を細かく分析できる環境が作ることができれば、メディアの価値が上がっていく、と語る。

 「ユーザーにとっては、正直言えばテレビもネットも関係なく、一番そのコンテンツを楽しめる媒体であることが大切。ネットも踏まえたビジネスモデルをどう構築できるかを考えるためにも改めてコンテンツを運ぶ媒体ではなく、コンテンツそのものの質を高める議論をしていく必要がある」(梅澤氏)

 船越氏は、今後数年以内にはテレビで放映されているコンテンツの多くがネットに出てくると予想。ネット上にテレビ番組の一部を流すことでユーザーへのリーチを増やし、それによって見たい番組を訴求しテレビへの流入を増やすなど、テレビとネットの協業が今後の鍵であると指摘する。

 「テレビとの同時接続は一つの手法としてこれまで確立してきた。ネットという技術でターゲットを絞ったりネットならではの演出などさまざまなな強みがあり、それによってコンテンツの作り方も変わってくる。ユーザーに何を提供し、どう楽しませるかを改めて考えることが大事」(船越氏)

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