インターネット関連のテクノロジベンチャーに対する買収・投資金額が数十億ドル以上もの膨大な規模になるのは割高ではないかとの質問も寄せられた。これに対し、DavidLee氏はFacebookが190億ドルで買収したWhatsAppの例を挙げ、「Facebookの時価総額の10%として計算すると、ちょっと違う答えになるのではないか」と返した。
少し以前には世界の5億人が56kbpsのモデムで通信していたが、今から3年後には50億台のスマートフォンであふれると予測されているように、「テクノロジのサイクルごとに市場規模は膨れていく」ことから、買収・投資金額もその市場規模に合わせて成長していくものだという見方を示した。
田中氏はWhatsAppsに関連し、中国におけるTencentの台頭について言及した。TencentはWeChatというメッセンジャーアプリを提供しているが、この中に決済機能を追加し、中国ではタクシーの配車や支払いなどに使えるようになっている。この機能を活用した大々的なキャンペーンも展開し、タクシーの利用者には割引を、運転手には割り増しの料金を支払うようにし、結果的に2億人ものユーザーを集めたという。
その間わずか3カ月。中国には大規模商取引サービスとしてAlibabaもあるが、こういった活動によって、それまで小さかったTencentのWeChatというサービスが急速に頭角を現し始めており、同じメッセンジャーアプリのWhatsAppにおいても非常に多くの可能性が秘められているのではないかと述べた。
日本において、国はそういったチャンスを「邪魔することしかしない」とGeorge Kellerman氏は言う。それに対してDavid Lee氏は、シリコンバレーの成功は、地域がそういった新しい製品、文化に対する法制度が整っていたことが1つの要因だとし、さらに田中氏も、中国の場合は国による「不思議な規制」があるとはいえ、逆に人々が政府に課題を突きつける形で物事を始めていたりすると話す。
日本もさまざまな規制や習慣によって新しいアイデアを実現しにくい部分もあるが、田中氏は「政府が許してくれないからできないというのはおかしい。起業家も努力をすれば必ず変化の要因になる」と話し、David Lee氏も「どの政治体制下でも、優れたアイデアと製品があれば優秀な人材が集まる」と訴えた。George Kellerman氏は日本の「しょうがない」という言葉は、その裏にやりたくないという気持ちが見え隠れするため一番嫌いな言葉だと話し、「しょうがある」にしてほしいと会場に集まった聴衆に呼びかけた。
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