グーグルの歩みを振り返る--創設からの15年とユーザーに与えた影響 - (page 4)

Seth Rosenblatt Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年10月07日 07時30分

 1995年から検索エンジンについての執筆活動を行い、冷静な発言で知られるDanny Sullivan氏は、「彼らは批判に対応したくないと考えている。今では(批評を)を受けても、問題の一部に対処するのではなく、『どうやってやり過ごそうか』としか考えていない」と述べている。Sullivan氏は米CNETでもコラムを執筆している。

 NSAによる監視の問題が発覚したことで、新たな懸念が生まれている。Googleは法律によって、捜査当局からの情報提供の要請に応える必要がある。同社は、あまりにも範囲の広い要請は断っており、どれだけの情報を提供していたか開示する許可を求めて法廷で争うとしているが、善意をもってしても、そうした詮索を止めることはできない。

 政府による監視によって、Schmidt氏が2009年に発言した警告の言葉が、新たな光を浴びている。同氏は当時まだ最高経営責任者(CEO)だった。

 「誰かに知られたくないことは、そもそもするべきではないだろう。しかし、そういう種類のプライバシーを本当に必要とするとしても、Googleを含めた検索エンジンは、この情報をしばらくの間は保持するというのが現実だ。米国においてはすべての人が愛国者法の適用対象となり、その情報が当局に提供される可能性はある」(Schmidt氏)

 この発言の最初の1文は、セキュリティ研究者のBruce Schneier氏のような人々にとっては同意しかねるものだった。Schneier氏は、「プライバシーは人間の基本的欲求」であり、悪事を取り繕うためのものではないと反論している。しかし、政府の監視についてのSchmidt氏の警告には留意すべきだ。Googleがユーザーの情報を次々とかき集めており、一方で詮索に対するSchmidt氏の抵抗が手ぬるいときもあったとすれば、なおさらである。

Google+、Android、そしてその先へ

 Googleユーザーにとって一番新しいプライバシー問題は、Googleが現在、モバイルやソーシャルテクノロジへと事業を拡大したことに端を発している。10億台以上のAndroidデバイスが稼働するなかで、Googleには数え切れないほどの新規アカウント保有者がいる。これは、ユーザーがどこで電話を使い、何を検索し、どこに車で出かけ、誰と話したかという新たな情報の宝庫だ。

 この状況をさらに推し進めているのが、Googleのパノプティコン(一望監視施設)に新たな目を加えるGoogle Glassである。Googleは、他人に気づかれることなく写真や動画を撮影することを難しくしようとしてきたが、人々がGoogle Glassの装着者を見かけたときに「自分が撮影されているのでは」と思うようになったとしても不思議ではない。そうしたデバイスが一般的になったときに、人々がどのように適応するかはまだはっきりしないが、画像認識と音声処理によって、Google Glassが非常に個人的なデータの新しい強力な収集源となり、そのデータをGoogleが保管するようになることは明らかだ。

 データ収集のもう1つの新たなフロンティアは、ソーシャルネットワーキングだ。Orkut、「Wave」「Buzz」で失敗したあと、GoogleはついにGoogle+という推進できるソーシャルネットワーキング製品を手に入れた。Google+が2011年にスタートしたときは、大部分がFacebookのモデルに追随しており、人々が投稿した近況をフォロワーが見るという状態だった。しかし同社は、Google+をそれ以上のもの、つまりGoogleのビジネス全体の「ソーシャルの屋台骨」にするという野心を着実に実現してきている。

 Google+は、写真共有、Gmail、オンラインチャット、YouTubeアカウントとコメント、さらには検索結果まで、Googleのほかのビジネスとの連携を強化している。Googleはそれを可能にするために、以前は個別の製品に関連づけられていたユーザーデータを集約した。これによってプライバシーに関する不満が噴出し、議会による調査も行われたが、何かが変わったというわけではない。

 自動運転車や医療のような全く異なる分野にGoogleが大胆に参入していることは、人々が新たなプライバシー問題に立ち向かわなければならなくなることを意味している。よりよい治療を受けられるとしても、自分のゲノムをGoogleと共有したいだろうか。経路選択を最適化するために、Googleの自動運転車に自分の運転の習慣を記録させたいと思うだろうか。

 しかし、過去の例からすれば、便利な新しいGoogleプロジェクトはどんなものでも人気になるだろう。そしてGoogleは、よりよいサービスの見返りとしてユーザーに新しいデータの共有をどこまで求めるべきかを、的確に見極めるだろう。

 実際のところ、Googleは今も強力なブランドであり、多くの人々に非常に好意的に受け止められている。事業拡大によって、プライバシー侵害の問題があったとしても、ブランドの鮮度と興奮を保つことができるかもしれない。

 Googleはウェブ検索と関係のない日常的な分野への投資を拡大し始めているため、同社が次の15年間で、ユーザーの頭脳を拡張するものになりたいと考えるのを想像しないのは難しい。

 脳だけでなく、鼻も対象だ。2013年のエイプリルフールのいたずらの一環として、同社は「Google Nose」を発表した。これは、においによる検索を目的とした偽の嗅覚ナレッジベースだった。

 今は笑えるが、10年後や15年後はどうだろうか。Google Noseも、それほど突飛には思えないかもしれない。

 Google Glassのプロトタイプ
Google Glassのプロトタイプ
提供:Sarah Tew/CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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