電子書籍ビジネスの真相

世界三大タブレットを「コンテンツ目線」で評価してみた--ハードウェア・電子書籍編 - (page 2)

林 智彦(朝日新聞社デジタル本部)2012年12月19日 11時01分

重さと耐久性

 重さは、iPad mini、Nexus7はほぼ同等に感じる。Kindle Fire HDはこれらよりやや重く、分厚い。ただし、その分、耐久性はありそうだ。iPad miniとNexus7はボディの一部を指で押すとたわむが、Kindle Fire HDでは指を跳ね返す感じ。カーペット張りの自室で2回落下させてみたが、びくともしなかった。

セルラー通信

 iPad miniはLTE対応モデルがあり、テザリングも可能なのでモバイルルーター代わりに使えるのは大きなメリット。Nexus7は海外でのみ3Gモデルを販売(日本でも今後発売?)。Kindle Fire HDは海外では上位機種の8.9インチモデルにLTE対応のものがあるが、日本未発売。

背面からみた3機種
背面からみた3機種

オーディオ音質

 オーディオについては、Kindle Fire HDが最も力を入れている。ドルビー社のサラウンド技術「ドルビーデジタルプラス」を採用、左右のスピーカーを各2チャンネルで駆動する。深みがあり、きめ細やかな音質で原音の細かなディテールをよく拾ってくれ、音の広がりも素晴らしい。

 イヤホンやヘッドホンで聴いても、ほかの2機種との差は明らかであり、オーディオプレーヤーとしても楽しめる(iPodやウォークマン等、専用オーディオプレーヤーをも超えている印象を持った)。最大音量もかなり上げられるので、複数で動画を楽しむのにも便利だ。

操作性

 最後にハードウェアではなくソフトウェアであるが、各OSの操作性に触れておこう。iPad miniの採用するiOS、Nexus7のAndroid、Androidからフォーク(分岐)したFireの独自OSそれぞれに「くせ」があるが、慣れればどれも問題なく使いこなせるだろう。

 iOSとFireを含むAndroid系を分かつ大きな特徴は、Android系の「戻る」ボタンがiOSにないことと、Android(3.0以降)が「ホーム」ボタンをソフトウェアで実現しているのに対し、iOSがハードウェアであることなどだ。

 例えばある操作を間違って、意図していない結果になってしまったとき、Android系では「戻る」ボタンで直前の操作を取り消すことができる。iOSではこれがアプリに任されているため、アプリが「戻る」や「キャンセル」ボタンを用意していなければ、いったんホームボタンを押してホーム画面に戻るなどする必要がある。このアプリレベルの「戻る」ボタンはたいてい左上にあるので、iPad miniでは電車の中などでの片手操作はかなり厳しい。

 ホームボタンがハードウェアボタンであることも、iOSのポイントだ。幅の広いiPad miniはもともと片手持ちがしにくいが、ホームボタンが必要な操作になると、物理ボタンを押し込む必要があるため、どうしてももう片方の手を使わざるをえない。

 複数のアプリを使い分ける「アプリ切り替え」はiOSの場合、このホームボタン2度押しで実現しているが、Android系は「履歴」というソフトボタンでできる。前述のように「慣れ」もあるが、個人的には幅の狭さもあいまって、電車内での片手操作には、AndroidのNexus7のソフトボタンが便利だと感じた。

 なおKindle Fire HDのUIはAndroid系とは言ってもNexus7のそれとはかなり異なっている。「戻る」ボタンはあるが「履歴」はない。ただし、ホーム画面のカルーセルが「履歴」の機能を果たしている

ハードウェアまとめ

 価格的にも「高価なiPad mini、安価なKindle Fire HD、中間がNexus7」という住み分けで、まさにこの3機種は好敵手といえる。ハードウェアの性能的にはいずれも水準を超えており、どれを選んでもさほど後悔することはないだろう。

 では何で選ぶか? ハードウェアの性能がほぼ同等であれば、選択の基準はそれ以外になる。なかでも、その端末でどんなコンテンツを楽しむことができるのか? という視点が重要だ。次項からそのあたりをチェックしてみよう。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]