(編集部注:こちらは、9月22日に公開の「アップル、米国顧客満足度指数PC分野で1位--競合との点差は調査中最大」に、オリジナル英文記事中にある未翻訳部分を追加し、一部を再編集して公開しています)
ハードウェアメーカーはAppleの製品から多くのヒントを得ている。ではなぜ、同社の顧客に対するアプローチも採用しないのだろうか。
Appleは、ミシガン大学が実施している米国顧客満足度指数(ACSI)で100点満点中86点を獲得し、7年連続でPC業界のトップとなった。これは、1995年に開始されたこの年次調査で、Appleがこれまでに獲得した最高点である。
しかし、本当に重要なのは、Appleがこの分野でライバルを大きく引き離していることだ。競合他社の多く(Acer、Dell、HPなど)は77点で並んでおり、HPのCompaqブランドは74点という評価を受けている。2010年はすべてのPCメーカーが得点を伸ばしたものの、全体的にAppleに及ばなかった。Appleと競合他社の間の9点という得点差は、ACSIの調査対象となっている45のカテゴリ(家電、ガソリンスタンド、自動車、Eコマース、航空など)の中で、1社とその競合の差としては最も大きいものだ。
Appleのリードは、逆転が不可能なほどのものではないが、その要因はいくつか考えられる。例えば、製品ラインアップが広範でありながら互いにつながっていること、小売体験が細部まで管理されていること、そしてトップに非常に独特なリーダーがいることなどだ。ACSIのマネージングエディターDavid VanAmburg氏は、Appleは質が高いことで有名な顧客サービスだけで首位になったわけではないが、それが理由の1つではあると述べる。
「製品の革新と統合に注力していることが要因になっていると思う。『Mac』『iPad』『iPhone』『iPod』によって、同社は今でも他社と少し違う立場にいる。安易に統合されてきたIT製品が溢れているが、Appleは単にパーソナルコンピュータだけでなく、『IT』を大きくとらえることに成功している」(VanAmburg氏)
つまり、競合他社がPCを製造しているのに対し、Appleは「iOS」「iTunes」「Mac OS X」という同社独自のソフトウェアで結びついたハードウェアのエコシステムを有している。Appleは自社製品の全体をコントロールしており、デスクトップやノートブック以外のデバイスへの参入でも成功を収めてきた。PCメーカーはある程度Microsoftの製品サイクルに縛られており、消費者向けデバイスメーカーではなく、単にPCメーカーとしかみられていない。
では、PCメーカーはなぜAppleを模倣しないのだろうか。HPは実際にその方向に踏み出している。Palmの買収によって、HPは携帯電話やタブレットのようなモバイルデバイスを、ノートPCやプリンタで構成されるもっと大きなエコシステムに統合しようとしている。しかしDellやAcerのようなほかの大手PCメーカーは、まだそうした段階に達していない。
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