高瀬徹朗
2008/04/04 02:03
さて、ユーザー数はさらに増加しましたが、オープンサービスで運営されていたためYouTubeよりアクセス過多によって制限を受けることになります。そこで急遽、3月上旬に動画ストレージの「SMILEVIDEO」をスタートし、これを利用した「ニコニコ動画(γ)」を開始しました。
また、動画を配信するためのインフラがある一定量でしかカバーできなかったため、10万人限定のID登録制度を導入。インフラ確保等を進めながら限定解除を進め、5月にはID登録者が100万人を超えます。
その後、サービスは順調に拡大しますが、インフラの負荷、コスト負担が重くなったことを考慮し、6月から有料視聴回線のプレミアム会員制度を導入。これと期をあわせて「ニコニコ動画(RC)」に移行しました。
7月には、動画に連動した商品をamazon の商品リストから貼り付けるユーザ向けツール「ニコニコ市場(仮)」を開始。商品紹介のコミュニケーションツールとしてスタートした同サービスが現在、収益を支える柱のひとつとして一本立ちしているのはご存知の通りです。また同時期、モバイルサイトでのサービスをNTTドコモおよびauで開始。また、PCのID登録者数は200万人を突破しました。
さらに9月、ID登録者数が300万人を突破すると、10月には「ニコニコ動画(RC2)」ユーザー向け発表会を実施。新しい機能実装「ニコスプリクト」「ニコニコ割り込み」などを発表しました。さらに11月、ID登録者数が400万人に達すると、エイベックス、吉本興業などが公式動画をアップロードするなど、正規のコンテンツホルダーとの取り組みが開始されます。
同月には、ヴィジュアリストの手塚眞氏を審査委員長に迎え、オリジナル動画を表彰する「国際ニコニコ映画祭」を開催。明けて1月にID登録者数が節目の500万人突破し、2月にはモバイルの登録者数が100万人を突破、NTTドコモ公式サイトにエントリーされました。
3月10日には「ニコニコ動画(SP1)」に関する発表会を実施。ニコニコムービメーカー、ニコニコ外部プレイヤー、ニコ割ゲームなど新ツールや新機能やニコニコ生放送などの本格展開について皆さんにお伝えし、新たな方向性を示すことができたかと思います。
SP1発表の際、我々は「明後日の方向に進化する」というコンセプトを示しました。多くの動画投稿サービスは今後、例えば圧縮技術の高度化、パートナーシップの拡大・強化などに進化の方向性を見出すことになろうかと思います。我々ももちろん、そうした進化も目指しますが、加えて「明後日の方向」にも駒を進める。具体的にはイベント実施やツール開発など、とにかくユーザーの動きを活発化できる企画性を持ちつつ進めていきたいと考えています。
ニワンゴの設立にせよ「ニコニコ動画」の提供にせよ、「ひろゆき氏や未来検索ブラジルの面々の協力」ということが言えると思います。特に「ユーザー喚起」に対する考え方。ここにおいて、いわば「2ちゃんねる的」要素が活かされたことが大きかった。
インターネットは、大企業も一個人も同レベルでプレゼンテーションや会話が展開される場所。そのため、どれだけ多くの一般ユーザーを巻き込めるかがポイントになります。何に興味を持ち、そして動いてくれるのか――。特にブームを引率するネットリテラシーの高い層の人たちが何に興味を持ってくれるのかを読み取ることが重要なのです。
「ニコニコ動画」はある意味、異質の動画共有サービス。いわばオンリーワンです。その支えとなっているのは「2ちゃんねる的要素」であると考えています。
もちろん、一方で技術面も強く意識しています。ユーザー志向型のアナログ的雰囲気を成立させるためには技術力が不可欠です。より直感的で使いやすいサービスを提供すること。例えば、動画内容によって「もっとも盛りあがる」ためのコメント表示位置、スピード、表示タイミングなどをパターン分析し、ベストな形式で提供する。これも技術ノウハウのたまものです。
このように、ユーザーにとってベストなサービス・ソリューションを提供する技術の開発に力を入れています。
「明後日を向いて」さらに明々後日の方向に向かうこともあるでしょう(笑)。やはり「人と違うことをやる」を目指していきますが、原点にあるのはユーザーニーズを理解し、その視点で次の展開を考えていくことです。
理想として考えているのは、1日24時間の中で、必ず1度は「ニコニコ動画」に時間を費やしてもらうこと。ニュース、トピックス、コミュニティ、どれでもいいので。そのユーザーのかけがえのない時間の一部を「ニコニコ動画」に割いてもらえるという、ユーザーの誰もが満足していただけるプラットフォームでありたいと考えています。
その他、世界展開について。言語対応、その国の文化に即した表示方法を検討して、実施していきたいと考えています。
動画は恒久的なサービスとは考えていますが、それ以外についてもチャレンジブルにいこうと計画しています。