設立当初の黎明期から NIFTY-Serve を使っていました。その当時の大手パソコン通信業者は2つあり、一つは NEC の PC-VAN(Biglobe)、もう一つがこの NIFTY-Serve(@Nifty)でした。
その中には「フォーラム(掲示板)購読」「個人間メッセージ」「有償購入(ダウンロード)」といった、現在のSNSサイトやインターネットの縮図がすでに構築されていました。多数の PC-98 系ユーザーに裏打ちされた PC-VAN はどちらかというと趣味・エンタメ系、NIFTY-Serve は米国の同業「CompuServe」と提携して、ビジネス系の色彩を打ち出していた記憶があります。
醍醐味としては、直接会ったことのない人々が、時間と距離を超越して意見を交わすことができること、当時パソコン通信をしている人たちは意欲や情報リテラシーの非常に高い人たちだったので、得られる情報が非常に密度が濃かったことなどが挙げられます。
古き「悪しき」話を一つ。
当初、パソコン通信の料金体系は「接続時間課金方式」で、例えば1分接続で10円という高額なものでした。この場合毎日2時間接続したら月額36,000円となってしまうので長時間接続は通常できません。
また当時のパソコン通信はモデムという通信アダプタがAP(アクセスポイント)というパソコン通信業者が準備した着信電話番号に「電話」してデータを送受信する仕組みで、長時間接続を行うと、電話代もダブルで課金されてしまう環境でした(電話代に関しては、その後「テレホーダイ」というパソコン通信用無制限通話料金プランがNTTによって設定されて解消されました)。
そのため、現在のインターネット接続のように常時接続はせず、「オートパイロット」という接続ソフトを利用していた方が大多数でした。
通信モデムの速度は、当初は 300bps!、最終的な高速モデムと言われたモデムでも 14,400bps という「低速」な通信だったので、大容量なコンテンツは取得できず、大抵は文字情報の送受信がメインの利用法でした(現在のインターネット通信の速度の平均値を 30Mbps と仮定すると、その速度の違いは、300bps の場合は10万倍、14,400bps でもおよそ2,000倍の違いがあります)。
300bps とは全角1文字20bit として秒速15文字。オートパイロットで見ていると、ダウンロードされた「文字」がテレタイプのようにパソコンの画面に表示されてゆく姿を「リアルタイムで読んでいた」ことを自慢する人たちも多くいたものです。
その他の特色としては、現在のブログのようにビジュアルで伝えられる下地がなく、文字文化一色だったので、おのずと参加者の文章能力は相当高められていた状況がありました。
激動のネットワーク業界の中で、前者は Biglobe、後者は @nifty として未だ存在感を保っています。すばらしいことです。
2011-04-22 10:24:04