ゲイツ引退、本当の功績とは?

2008年6月30日 16時30分

 Microsoft常任会長 Bill Gates氏が6月27日に退任しました。すでに2000年1月にはCEOをSteven Ballmer氏に譲っており、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団での慈善活動に重心を移していましたが、今後はフルタイムの業務から完全に引退するそうです。

 Microsoftの設立、Windowsの開発などは、Gates氏の功績としてあまりに有名ですが、同氏がIT業界に与えた影響の本質とは何でしょうか。パネリストのみなさんのご意見を聞かせてください。


  • 奥木博一
    奥木博一さん (パーク24株式会社 業務推進本部 技術開発部 マネージャー)
    Google の「次」は何だろう。この問いに関して、ここのパネラーの方々は意見をお持ちかもしれない。私は具体的な社名は持ち得ないが「インターネットの次」だと考えることにしている。

    「PC」、「インターネット」のどちらもすぐに廃れることはない。それらがコモディティ化し、それら「ありき」という前提の下で「次」は何かという議論はあり得ると考える。

    「PC」=マイクロソフト、「インターネット」=Googleと具象化して見るとイメージが湧くかもしない。PC の時代をほぼすべて支配したビル・ゲイツは、それだけすごい才能(経営者と技術者の両面)と強運を持ち合わせている。

    1.8bit マイコンの頃、OS と言えば CP/M(デジタルリサーチ)であった。それが、現在の x86 PC の原器というべき IBM-PC/AT にはマイクロソフトの PC-DOS(MS-DOS)が採用された。

    2.マーク・アンドリーセンらの開発した Netscape は、インターネット時代を席巻する勢いだった。しかしマイクロソフトは Spyglass 社から Mosaic のライセンス供与を受け、Internet Explorer を OS に無償でバンドルし、ブラウザ戦争を勝ち抜いた。

    3.マイクロソフトは Windows 3.1 後継 OS として IBM とOS/2 を共同開発していたが、windows 95 の操作性と人気により、OS/2 は撤退を余儀なくされた。

    4.1995年12月、押し寄せるインターネットの波に対して「これは本物だ」と思ったビル・ゲイツは「押し寄せるインターネットの波("The Internet Tidal Wave")」という題名のメモを書き、全社を一斉にインターネットシフトさせた。(CNET でも読めます。 (リンク ») )

    1について。IBM の PC/AT プロジェクトチームが PC-DOS の開発を依頼するため、当時デジタルリサーチの社長だったゲーリー・キルドールの家を訪問した。ところが彼は丁度休暇留守中。代わって応対した彼の奥さんが彼らを追い返してしまったため Microsoft が開発することになったというのは伝説的な逸話である。

    PC/AT が発売されて20年、その間をすべて覇者でいつづけるためには、上記のような「天王山の戦い」を4つも5つも確実に勝利していく必要があったのである。まさに強運と才覚。

    ゲイツしかりジョブスしかり、カリスマ経営者たちの周りには多くのドラマが存在する。

    2008-07-04 17:48:33

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