中国市場については、2012年にはSNSユーザーが3億人規模、アプリのアクティブユーザーが1000万人、アプリの市場規模は4億4000万ドル(約390億円)になるといい、魅力的な市場と渡邉氏は話す。ただ、同時に「壁も多い」というのが見解だ。
例えば、人気のあるアプリはすぐにコピーされてしまう。「Facebookで見かけたものは、2〜3カ月で全く同じようなものが出ている。防ぎようがないので、『まねされるくらい人気が出たと思うしかない』」。さらに、SNS運営者自身がソーシャルアプリを作って提供しており、プラットフォーム運営者がライバルになってしまう。アプリの公開に審査を設けている企業もあり、「提供から何年か後には、アプリがSNS運営者のものになるという契約を入れるところもある」(渡邉氏)とのこと。
アプリの売り上げの分配についても、アプリ提供者への支払いが売り上げの1〜3割と日本に比べてかなり少ない。「これでビジネスになるかというと厳しい。中国は人件費が安いと言われるが、データセンタを抱えようとすれば日本並みにコストかかる」(渡邉氏)
また、アプリ同士の競合も激しい。「mixiでもサンシャイン牧場のように、中国系のアプリが上位にいて、脅威だと感じる。開発サイクルも早いし、『ソーシャル』をよく理解しているので、そういう相手に対抗するにはこちらも開発スピードを上げないといけない」(渡邉氏)
ソーシャルアプリを今後成長させていく上で肝になるのは、ユーザーの口コミだけに頼らず、プロモーションをいかに仕掛けていくかにあると渡邉氏は言う。例えばFacebookで人気の農場育成ゲーム「FarmVille」は1日40万インストールされているというが、1インストールあたり1.80ドルの獲得コストをかけているという。つまり、1日72万ドル(約6400万円)をプロモーションに費やしている計算だ。
「Facebookは自由度がある反面、それなりに体力がないと参入できない」(渡邉氏)
これに比べ、mixiアプリなどでは広告プログラムが用意されており、人気あるアプリを作れば収益を上げやすい仕組みができている。「ルールがある分、参入しやすい。試しにやってみれば面白いのでは」と渡邉氏は言う。
ロックユーアジアとしてはゲーム性よりもユーザーのコミュニケーションに主眼を置き、シンプルなアプリを多く提供する方針とのこと。「1つのアプリに開発費を1億円かけて年に1〜2本リリースするという方法もあるだろうが、我々はもっと軽いものを作る。開発費が1000万円以上かかるものはほとんどない。開発期間も長くて3カ月で、アプリを大量投入していく」(渡邉氏)。また、現在はPC向けのアプリが主流だが、2010年以降はモバイルにも進出したいと話した。
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