英国のOrate Telecommunications Servicesも、iPhoneという名のVoIPフォンを提供しているほか、Ciscoの近くに本社を構えるカリフォルニア州サンノゼのTeledexもホテルの客室向けにiPhoneという製品を提供している。
Chandler氏はCiscoではこれらの企業の動きを認識しており、「名称の使用を巡って法的な措置をとっている」と述べた。
Appleウォッチャーたちはここ1年間、同社がスマートフォンのようなモバイルテクノロジと、iPodの楽曲機能やビデオ機能を備えた電話機を開発していると推測してきた。ファンやブロガーらはAppleがデザインしていると思われる携帯電話をiPhoneと一時呼んでおり、当のAppleも繰り返しiPhoneの商標取得を試み、iPhoneという名称の使用を希望している様子を垣間見せていた。
Ciscoは訴状で、iPhoneの商標使用に関してAppleから最初のコンタクトがあったのは2001年のことだったと述べている。その後何年間にもわたりAppleは使用許諾を求め、2006年には複数の企てを試みたという。
「Ciscoは毎度Appleに対し、商標を譲る用意はないことを述べてきた」と訴状には書かれている。
AppleはCiscoの判断を受け入れることができず、デラウェア州ウィルミントンにOcean Telecom Servicesという窓口会社をつくった。Ciscoの訴状によると、Ocean Telecom Servicesは2006年9月26日、米国での使用許諾を申請したという。Ciscoの訴状には、窓口会社について「Appleに所有され、あるいはAppleに成り代わり、Appleのエゴを満たそうとしている」と書かれている。また同じ時期の2006年9月16日、AppleはオーストラリアでiPhoneの商標を申請している。
Ocean Telecom Servicesの米国での申請書類も、Appleのオーストラリアでの申請書類も、2006年3月27日にトリニダード・トバゴで登録された商標に言及している。両書類におけるトリニダード・トバゴの商標への言及方法が酷似しており、Ocean Telecom Servicesを所有しているのはAppleであると推測されるとCiscoは訴状で述べている。
Endpoint Technologies Associatesのアナリストで、長年Appleの動向を追ってきたRoger Kay氏は、歯に衣着せぬ物言いで今回の状況を次のように評価している。
「Steve(Jobs氏)がずぶといだけだ。彼はライセンスも支払わなければ、交渉もせず、商標を手に入れようとしている。ごう慢の極みだ。彼は基本的にうまく切り抜けられると考えている」(Kay氏)
訴訟を長引かせてもメリットがないことから、両社は見解の相違を解決していくだろうとKay氏は述べる。Kay氏は「AppleはCiscoの度胸を試している。わたしならば、ほかの会社でこうするが」と述べ、Ciscoの豊富な資金力に言及した。
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