企画広告
提供:静岡県

「もったいない」が食の未来を拓く--静岡県×地域企業が挑む産業振興とフードテック

CNET Japan Ad Special2025年01月07日 13時00分

 駿河湾など豊かな水資源と温暖な気候に恵まれた静岡県。お茶やみかん、わさびなどの産地としても知られており、食品と飲料を合わせた出荷額は、北海道に次ぐ日本で2位の食品産業がさかんな県だ。

 そうした背景から、官(自治体)、学(学校)、民(消費者)、産(企業)、金(銀行等)が連携したフードテックの取り組みが進んでいる。

豊かな水資源と温暖な気候に恵まれた静岡県
豊かな水資源と温暖な気候に恵まれた静岡県

 今回は、「地域企業が描くフードテック・食品産業の未来像」をテーマに、食品関連産業を支援する静岡県産業振興財団のフーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンター、発酵食品である“麹”と食品廃棄物を活用したアップサイクル製品を手がけるソーイ、市場に出せない「はじかれ野菜」を活用した食品ロス削減事業を展開するtane(サルベジー)の取り組みを紹介する。

  1. 食品関連産業を支援する静岡県庁の外郭団体の存在感--食のアップサイクルにも注力
    1. 静岡県では年間74.2万トンの食品廃棄物が発生、課題解決へ
    2. 食料危機に備え、世界で勝負も視野に
  2. 麹発酵で“食材をまるごと使い切る”--ゴミを作らないソーイのアップサイクル
    1. 食材と廃材を分けているのは意識の差?
    2. コーヒー残滓を再活用、ゴミを発生させない「アップサイクル製品」
  3. デザインの力で「はじかれ野菜」をブランドに変えるtane
    1. 破棄予定や規格外の野菜、形が悪いものはごく一部
    2. 「知らないと欲しがれない」--だから取り組みを知らせたい

食品関連産業を支援する静岡県庁の外郭団体の存在感--食のアップサイクルにも注力

 まず最初に紹介するのは、静岡県庁の外郭団体で、食品関連産業を支援する静岡県産業振興財団 フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターだ。

1800社以上の企業群ネットワークによって活動
1800社以上の企業群ネットワークによって活動

 食品、化粧品、ヘルスケア産業に関する助成制度の運営、展示会、商談会への出展支援のほか、コーディネーターやアドバイザーを配置し、企業からの相談に常時対応できる体制を持つ。官、学、民、産、金が連携し、1800社以上の企業群ネットワークによって活動している。

フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトの6つの戦略
フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトの6つの戦略

 フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターが進めるプロジェクトの目標は、食を中心とする健康増進社会の実現と異分野の融合によるオープンイノベーションの創出だ。戦略として「きわめる(研究開発)」「つくる(製品開発)」「いどむ(ヘルスケア)」「とどける(販路開拓)」「そだてる(人材育成)」「ひろめる(情報発信)」の6つがある。

 食品、化粧品、ヘルスケア領域において、それぞれ商品開発・事業化、販路開拓、人材育成・企業連携を共通して取り組んでいる。たとえば食品領域について、フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターがもっとも得意としているのは、機能性表示食品の開発だ。科学的根拠から出口のところまで一貫した支援を実施。静岡県立大学が科学的根拠について担当、フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターは消費者庁へ届け出る書類作成や商談会などを実施し、販路を開拓。あわせて人材育成として、食品学講座も実施する。化粧品やヘルスケア領域でも同様に取り組んでいる。

静岡県では年間74.2万トンの食品廃棄物が発生、課題解決へ

 食品関連産業がさかんな静岡県は、年間74.2万トン(全国第7位)の食品廃棄物が発生(令和元年実績)。食品ロスは同県の試算では、事業系割合が7割、うち6割弱が食品製造業で発生していると推計する。原材料が高騰する中、廃棄物処分料の削減等による収益改善に向けた取り組みが必要になる。また、世界的な脱炭素への取り組みが進む中、CO2削減などの環境負荷軽減も求められている。

食品に関する社会課題と背景
食品に関する社会課題と背景

 静岡県では、細胞培養肉や昆虫食、3Dフードプリンターのような最先端の科学技術を活用したものだけでなく、人口増加による食糧不足や食品ロス、食に関わる人手不足への対応など食に起因する様々な社会課題を解決する手法もテクノロジーもフードテックと定義する。

静岡県におけるフードテック活用の方向性
静岡県におけるフードテック活用の方向性

 静岡県は、幅広いフードテックの領域の中から、(1)サステナブルな仕組みや製品づくり、(2)パーソナライズした製品、サービス開発の2つにテーマを絞って取り組んでいる。

 具体的には、未利用食材についてどのようなものがあるのか、どの程度の量がいつ出ているのか、アップサイクル企業はどのようなものが必要で欲しいのかを、全県にわたって約2000社を対象にして調査。フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターには食のアップサイクル相談窓口を設置し、供給側(出し手)と活用側(受け手)のマッチングを支援。新商品の開発や販路開拓は、これまで取り組んできた得意分野であることから、アップサイクル商品についても同様に支援している。

フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターによる支援メニュー
フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターによる支援メニュー

 調査や取り組みのなかで、食のアップサイクルにおける課題についても見えてきた。未利用食材は不定期に出てくるものであり、品質も安定していない。さらに規格外品の仕分けにかかるコストや人手不足といった問題から、中間加工も必要という意見もあった。なかでも大きな課題としてあったのは“適正な価格での取引が困難”であると指摘。“未利用食材だから安い”というイメージがあるが、余計に手間がかかるところもあり、商品としては正規品とあまり値段が変わらないのも現実としてある。現在は交流会などを通じて、幅広い異業種の方々と集まり、課題解決に向けた意見交換などの取り組みを進めているとしている。

食料危機に備え、世界で勝負も視野に

 2024年度については、長野県のスタートアップ企業で、食品原料のシェアプラットフォーム「シェアシマ」を運営するICS-netとの取り組みを実施。うなぎのアラなど未利用食材の情報を掲載しているという。10月から窓口を設置しているが、すでにマッチングが成立しているものもある。洋菓子屋と日本酒の酒蔵によるマッチングにより、酒蔵から出る酒粕を使ってスティック状のチーズケーキを製造。また、色ムラがあり規格外となった伊達巻を、切り分けることによってお弁当として活用した例がある。これにより約60kg、180本の伊達巻を活用できたと説明する。加えて、地元の産業祭に参加し、消費者への啓蒙活動も行っているとしている。

 静岡県産業振興財団 フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンター センター長の望月氏は、未利用食材に注力している背景について、世界全体で見れば人口増が予想されているなか、世界的に食料危機が想定される。世界における食料の生産において、半分ぐらいは生産から最終的な商品の段階で活用されてない部分があると指摘。その部分を少しでもパーセンテージが上げられれば、現在の生産量であっても食料危機に備えられる。

 それを踏まえ、世界的に見て未利用の素材がどこにあるのか、どのような形の素材があるのかを調査し、技術開発や活用方法を確立してその地域で展開できれば、世界で勝負できるものとして、日本の産業振興という意味でも非常に大きな意味があると語る。

 また、静岡県として静岡県立大学に食品栄養科学部や薬学部があるなど、人材面での精鋭が存在していることや、県としても20年近く食品関係については旗を振って取り組んできたことにも触れ、根気よく続けることが大事であると強調。総合食品学講座において、県内の企業がいろいろな技術を持ち、ライバル企業の枠を超えて知見を共有している事例に触れ、「食品業界は閉鎖されているところがある。それでは新しい商品が出てこない。みんな同じ課題を抱えているわけであり、オープンイノベーションを進めるためには、その地域としてみんなで取り組み、解決していく必要がある」と語った。

フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンター センター長の望月誠氏。1980年より静岡県職員としてキャリアをスタート。2012年に静岡県経済産業部商工業局長、2016年に静岡県公営企業管理者企業局長、2017年に静岡県産業振興財団副理事長兼専務理事などを歴任し、2020年よりフーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンター長に就任。食品加工や機能性食品素材の開発及び中小企業支援業務に従事。
フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンター センター長の望月誠氏。1980年より静岡県職員としてキャリアをスタート。2012年に静岡県経済産業部商工業局長、2016年に静岡県公営企業管理者企業局長、2017年に静岡県産業振興財団副理事長兼専務理事などを歴任し、2020年よりフーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンター長に就任。食品加工や機能性食品素材の開発及び中小企業支援業務に従事
提供      :静岡県 企画/制作   :朝日インタラクティブ株式会社 営業部 掲載内容有効期限:2025年4月6日

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]