もっとも大切なのは心の準備だ。GRもMacも単なる道具にすぎない。写真を撮るのは撮影者自身である。
何を撮るか。
何を写すか。
そのすべては、撮影者の心次第だ。
その人らしさがそのまま表れる。だから写真は面白い。
写すものも写し方も人によって異なる。だから写真は面白い。
カメラを持って同じ道を数人で歩き、あとで見せあうとそれぞれまったく違う対象をまったく違う撮り方で写真にしている。誰でもボタンを押せば撮れる簡単な作画技法だからこそ、その人の興味や関心がストレートに現れて、ほかの人との相違が際立つ。それが写真の面白さだ。
私の場合は、「きらきら」を写している。それについては2006年1月のブログに書いた(「604:060128 写真はキラキラ」)。もともと、意識して「きらきら」を撮ろうとしていたのではなかったが、自分が写した膨大な写真を振り返ってみたときに、「あぁ、自分はきらきらを写してきたんだなぁ」と気づいたのだ。それ以降も、個々の対象に対して、「おいしそう!!」、「美しい!!」、「魅力的!!」という気持ちを写しているが、やはり、結局のところ全体としてみれば、きらきらを写し続けているように思う。
写真は「写心」。写す人の心を写す。
写真は「写信」。写す人と写る人との信頼関係を写す。
写真は、自分の心を投影し、相手との人間関係も写す。すばらしい表現媒体だと思う。その撮影はほぼ一瞬だけれども、その人の生き方や感性がそのまま表れる。
だから、常日頃からの心の準備が大切なのである。
写真は撮影の瞬間に至る前に行うことが非常に多い表現手法なのだ。写真の準備の大切さについては、以前、今回のコラムとは違った視点で、「写真は未来を写す」というコラムを書いている。どうぞご参照ください。
次回は撮影編。GRならではの撮影術やMacの使用を前提とした撮影のノウハウについてお伝えしたい。
執筆者プロフィール
塩澤一洋
写真家。フィルムのGR-1から、初代GR DIGITAL、2、そして3と「GR」を愛用し続ける生粋の「GRist」。月刊MacPeopleに「一語一絵」を連載中。
Twitter:@shiology
ブログ:http://shiology.com/
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