企業のクラウド導入の現状と課題とは? 今後のITインフラのあり方の今後を考える座談会(後編)

CNET Japan Ad Special2012年12月05日 11時00分

 既存システムのクラウド化について企業がどのような課題や認識を持っているのかについて、情報システム部門の担当者が座談会形式で情報交換を行なった。後編となる今回は、コニカミノルタホールディングス、ローソン、ゼンリンの3社に加え、クラウドベンダーとしてインターネットイニシアティブ(IIJ)も議論に参加。クラウド化における課題やベンダーに求める要件などを明らかにしていく。モデレータはITジャーナリストの新野淳一氏。

※【ここまでの流れ(前回記事)は、こちらからご覧下さい】

参加メンバー

ITジャーナリスト/Publickeyブロガー
新野淳一氏(モデレータ)
コニカミノルタホールディングス株式会社 IT業務改革部長 田井昭氏 株式会社ローソン ITステーション システム基盤 部長 髙原理彦氏 株式会社ゼンリン 経営戦略室 マネージャー
渋谷健氏

インフラとしてクラウドのテクノロジーは使えるのか

新野: 引続きクラウドで提供される価値をどのように考えているのか伺います。ゼンリンさんは、いかがでしょうか。

渋谷: 当社ゼンリンの場合、それほどドラスティックにシステムを変える必要がなく、現状のシステムでもあまり不満はありません。となると、無理にクラウド化する必要はないのかもしれません。しかし、仮に新規事業を始めるのなら、現状のシステムではキャパシティ不足になる可能性があるため、クラウドを利用して早期にスタートアップさせるという選択肢も必要になるでしょう。

 また、コストかスピードかという議論では、私はスピード・イコール・コストだと考えています。特に、新規でシステムを導入する際のスピードが最も重要です。1~2年もかけてオンプレミスのシステムを作っていたら、設計当時と外部環境や業務プロセスが変わってしまって完成時には業務にマッチしていないという齟齬も発生するでしょう。そのとき、その業務に必要なシステムに、フレキシブルに改修できる環境を作ることが必要だと思います。

新野: その中で譲れない条件というのはありますか。

渋谷: やはりセキュリティでしょうね。当社の場合、業務の根幹となる地図データベースそのものをクラウドに持っていく、と言う選択肢は考えにくいです。万が一、それが失われたら会社が存続危機に瀕することになってしまいますので、コアな部分はしっかりと自分達で管理します。しかし、それ以外は条件次第でクラウドに出す可能性は十分にあります。

新野: 髙原さんはご担当がシステム基盤ですが、インフラとしてクラウドのテクノロジーをどう評価していますか。

髙原: CやWeb系などシステムライフサイクルの速いシステムならクラウドは極めてマッチしていると思います。会社のバックオフィス系システムやミッションクリティカルなシステムなどは、システムダウンを回避する仕組みを組み合わせて作っているので、クラウドで構築するレベルには至っていないと感じます。

新野: ローソンさんはオンプレミスと社外クラウドのハイブリッドで活用されています。その際にネットワークスピードやインターフェースの作りなど、経験上で重要視する部分やボトルネックになる部分とはなんでしょうか。

髙原: そうですね、強いていえばアカウント管理や認証基盤でしょうか。SaaSを使う上でもシングルサインオン(SSO)で繋ぐ部分は各クラウドベンダーと調整しながら進める必要があり、セキュリティを高めながら利便性を落とさないように配慮しています。

 また、高速ネットワークも格段にコストが下がって、ネットワークスピードはボトルネックにはなりませんが、半面インターネット基盤に業務システムが深く依存する形になっていますので、ネットワークの堅牢性も重要なポイントになるでしょう。

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