「Galaxy S6/S6 edge」の評価と今後期待する挑戦:山根康宏氏 vs. CNET Japan編集長

【CNET Japan Ad Special】 日沼諭史2015年08月24日 10時00分

 サムスン電子ジャパンが2015年4月から発売している「Galaxy S6/S6 edge」は、Galaxy Sシリーズ初となるガラス筐体とし、金属フレームなども用いて質感にもこだわって作り上げられたフラッグシップスマートフォンだ。オクタコアCPUなどの高いスペックはこれまで通り追求しながらも、従来のGalaxyシリーズからイメージを一新させたスタイリッシュな外観で、特にS6 edgeにおけるデュアルエッジスクリーンのなだらかにカーブした側面処理は最大の特徴となっている。

 香港在住で、日本だけでなく中国、台湾、韓国などアジア地域のスマートフォン事情にも詳しいケータイジャーナリストの山根康宏氏は、韓国での発売当日に即Galaxy S6 edgeを手に入れたほどのGalaxyフリーク。そんな同氏は、Galaxy S6/S6 edgeの端末としての魅力をどう捉えているのだろうか。CNET Japan編集長である別井貴志との対談の場を設けた。

香港在住で、日本だけでなく中国、台湾、韓国などアジア地域のスマートフォン事情にも詳しいケータイジャーナリストの山根康宏氏(左)とCNET Japan編集長である別井貴志(右) 香港在住で、日本だけでなく中国、台湾、韓国などアジア地域のスマートフォン事情にも詳しいケータイジャーナリストの山根康宏氏(左)とCNET Japan編集長である別井貴志(右)

Galaxy S6/S6 edgeで改めてチャレンジしたサムスン

別井:まずGalaxy S6/S6 edgeのデザインを見ると、やはりデュアルエッジスクリーンが目を引きますよね。

山根氏:S6とS6 edgeでサムスンがやりたかったのは、新しい体験ですよね。デュアルエッジスクリーンは、ディスプレイを曲げるという非常に難しい技術を採用しています。ディスプレイを作っている会社だからこそできるというのもありますけども、技術力の誇示ではなく、大画面化していくスマートフォンをいかに持ちやすく、見やすくするにはどうしたらいいかを考えて曲げたんだな、という気がするんですよね。

 実際に持ってみるとすごく細い。逆に言うと、体感してみないと分からないのが弱点だと思うんだけども、大画面と使いやすさを両立するにはガラスを曲げざるを得なかった、必然で曲げたのかな、と感じています。

別井:ディスプレイの曲げ方(曲面のRのつけかた)を100パターン以上繰り返して試作したという話も聞いています。技術を誇示しているわけじゃなくって、技術があるからトライしたと。

山根氏:そう、技術があるからできた、ということじゃないですか。過去に全体をカーブさせた端末はありましたけど、あれはどちらかというと技術力の誇示だったんですよね。対してデュアルエッジディスプレイは確実に「使いやすさ」から来ている。

 どんどん画面サイズが大きくなって横幅が広くなっていく中での、1つの回答かなという気がします。で、それに合わせてメタリック素材を取り入れつつ、今までのプラスチック感を180度変えたガラス筐体としている。ガラスは他社も取り入れていますが、S6/S6 edgeはただガラスを貼っているだけじゃない。

 今までのGalaxyは「機能」が第一でした。みんなスマートフォンを機能性のある道具として使ってきたんだけれども、そろそろ機能がどうかというのは一段落してきて、今度は持つ喜びとか、ファッションアイテムとして持ちたい、という流れになってきています。そんな中でGalaxyシリーズは、性能は良かったんだけど、デザイン面でだんだん差別化しにくくなってきて、金属筐体のスマートフォンが他に増えてくると、若干見劣りしてきたんです。

 やっぱりフラッグシップというからには、「機能+使いやすさ+デザイン」がそろっていなければならない。好き嫌いはあるかもしれないけれど、思い切ってガラス素材にして、下に特殊なフィルムを貼って、神秘的な、ある意味実験的な色合いに仕上げた。それをできちゃうあたりが、なんだかんだ言ってシェア1位のメーカー。冒険できるだけの余裕があるのかな、という。

別井:それは言い換えると、守りではなく本格的に挑戦して来たということですよね。

山根氏:そうですね。Galaxy S4、S5を出したここ1、2年のサムスンは、挑戦者であるというよりも、若干守りに入っていたような気がするんですよ。シェアが1位になったし、機能もいくところまでいった。やれるところまでやったので、他社も追いついてきたところで、改めてS6/S6 edgeはチャレンジをしている。そのチャレンジが、今までは機能を追い求めてきたのを、デザインや使い勝手に向けているという。

別井:サムスンは「パワー&ビューティー」という言い方をしています。たしかに「ビューティーさ」って今までのGalaxy Sシリーズには足らなかった要素だと思います。

山根氏:出せば売れていた時代が過ぎて、デザインが多様化して、黒と白のプラスチックボディにはもう飽きがきているなと。そのうえで、S6/S6 edgeっていうのは、今までのサムスンの端末デザインを全て否定したとも言えます。

 話は少しそれますが、日本市場では端末から「Samsung」のロゴを外しましたよね。たとえばこれをグローバルで外しても、ホームボタンや端末全体の丸みのあるフォルムは、見たらみんなGalaxyだと分かるんじゃないか、っていうくらいに、なんだかんだいってこれはGalaxyのスタイルだと思うんですよね。この質感は、はっきり言って今まで積み上げてきたものをすべてゼロにリセットして、1からやり直したという感じです。

別井:もう一度消費者と向き合ったって感じですか。

山根氏:今まで機能優先で出してきたのだけれど、消費者が今改めてスマートフォンに何を求めているかを考えた時、機能はもう十分だと。機能+αの部分、1つは使いやすさ、もう1つは持つ喜び、ここを考えたということじゃないですかね。

S6/S6 edgeは「究極のカメラフォン」

別井:それらを支える端末の中身、スペックの話もしておきたいのですが、ディスプレイは新しい有機ELを使っていて、新しいCPUも搭載しています。話によると、CPUとメモリとをつなぐバス部分はものすごくこだわったというんですね。CPUが高速になっても、そうしないとトータルとしてパフォーマンスが出ないと。

山根氏:今回スペックの細かい数字っていうのは出てこないんですよね。実際に使ってみるとサクサク動いてくれて、「スペックがこうだから、これくらいの使い勝手」というのじゃない。スペックありきではなく、使いやすいスマートフォンにするためにスペックがこうなった、使いやすいスマートフォンのためにスペックを合わせてきた、という。

 もしかしたら現状で最高のスペックじゃないかもしれないけれど、使ってて思うのは、快適に使える気持ちよさと、ユーザーに快感を与えるために高いスペックにしているんだなあってこと。無意味にスペック競争しているわけじゃないから、スペックに関しては細かく触れる必要がないのかなって。

別井:今までのGalaxy Sシリーズって、どちらかというとまずハイスペックありき、それであとは何の機能を乗っける? みたいな形だった気がします。

山根氏: 僕はもう、S6とS6 edgeに関しては、カメラに尽きるなあというくらい、究極の「カメラフォン」だと思っているんですよ。S6/S6 Edgeでカメラを使い出すと、今まで以上にカメラを使いたくなってしまう。

 というのも、スリープしていてもホームボタンのダブルクリックでカメラが起動するんです。これに慣れちゃうとスマートフォンの使い方が変わるなと思っちゃうくらい。今までテキストでメモしていたのを、とりあえず写真に撮っちゃうみたいな。今までのスマートフォンってカメラを起動するのにタイムラグがどうしてもあったけど、これはまったくないんですよね。

 S4、S5までは、カメラの画質がどうだ、という話になっていたけれど、S6/S6 edgeに関しては、カメラがとにかく速い。起動してる感覚がないくらいに気持ちいい。今までよりも「スマートフォンとはなんぞや」というのを明確にした製品なのかな、という感じがします。高性能なカメラというのは本来こういうもののことではないか、という気もしますね。

 実際に韓国で発売された後にすぐ買って撮りまくりました。手のひらを使ったジェスチャーで自動的にセルフタイマーのシャッターを切ってくれるんですけども、まあ今まで以上に写真を撮りまくった気がしますね。画質もいいから不満がない。カメラを中心に使いたくなっちゃう。

別井:カメラレンズはF1.9で明るいよ、という推し方もしてはいますが。

山根氏:これもう数値で推さなくても、撮ってもらえば分かるかなって。本当に(食事写真もきれいに撮れる)メシウマ写真だし(笑)、暗いところもきれいですよね。Galaxy S5ももちろんきれいだったんですけど、起動が早くなってより明るくなったので、室内とか暗闇で写真を撮りたくなる。とにかく意識しないできれいな写真が撮れる。

 写真を撮ってもうまく写っていないと、しゅんとしてしまうというか、みんなで集合写真を撮ったのに、ああじゃあお開きにしますか、みたいになっちゃう(笑)。でもS6/S6 edgeは撮った後にすぐ見せびらかしたくなってしまうし、そこからさらに盛り上がる。スマートフォンのカメラが変わると。こんなにも生活も変わるかな、というくらい。いや、大げさじゃなく本当に(笑)。

 それと、背面の心拍センサーで紫外線量を見て、屋内か屋外かを判断しているというオートホワイトバランス。サムスンにはこれをもっとアピールしてほしいですよね。今アジアはセルフィーブームですけど、カメラの設計もちゃんと使って考えたなと言う感じがしますよね。例えば今までもいろんなカメラエフェクトがあったりしたんですけども、本当に使うんだろうか、っていうエフェクトだらけだった。背景の余計なものを消す機能とか。でも消せなくても、普通の人は別に気にしないし。

 今までのカメラ機能のあり方が、技術優先だったのを、ユーザー本意にした。スマートフォンのカメラでユーザーが何をしたいんだろうって考えると、集合写真を撮りたい、食事写真を撮りたい、自分の顔写真を撮りたいということだと思うんですけど、そういうシーンでカメラの起動に1秒も2秒も待たされては、その時の興奮、楽しみの気分が落ちてしまう。そのあたりユーザーにちゃんと聞いたんじゃないかなあと。

別井:ディスプレイもきれいですよね。

山根氏:ディスプレイはサムスン自慢の有機ELに磨きをかけてきましたよね。有機ELにかけるサムスンのこだわりというのは、毎年フラッグシップモデルに、一番いい状態で出してきているところからも分かります。発色の良さは歴代で一番良くなっていると思います。

 カメラで撮って、そのディスプレイで誰かに見せる時に、細身で持ちやすいというのが、すごくよく考えられていると思うんですよね。本当にいいのよ、自費で10万円、発売日に買ってるんだから(笑)。

別井:そういう意味でも、ちゃんと消費者ファーストというか、消費者の方を向いて作ったと。

山根氏:サムスンはGalaxyを初めて出してから、常に新しいCPUを搭載したりとか、ギークの欲しがるようなものを作ってきたりしてきたのに、ここ1、2年はかなり売れてシェアがトップになって、自分たちが道を切り拓いていく感じにならなくなってしまった。消費者を今まで見ていなかったというよりも、技術で売れていたものが、もう技術で売れなくなってきて、消費者の方を改めて見た、という感じじゃないですかね。

別井:これまでのGalaxy Sシリーズって全部入りにこだわってきたと思うんですよ。あれもこれもついている。でも今回は防水でもない。捨てるとこを捨てたという感じもあります。

山根氏:スマートフォンって何だろう、ということを、本当にゼロから考え直したのかなっていうことじゃないですかね。一生懸命機能を載せるのではなく、スペックを上げるのでもなく、使った時のお客さんの喜ぶ顔を想像して、使いやすさ、楽しさを追求したんじゃないかと。防水に関しては需要はあると思うんですけど、ただ、なくてもまあ困らないというか、むしろそのあたりは使い方で工夫すればいいでしょうし。

別井:ワンセグをほとんどの機種が搭載した時に思ったんですけど、結局全部入りだからって全部使わないじゃないですか。だけど全部入りがいいみたいな。

山根氏:スマートフォンの使い方も、年々ソーシャルの比率が高まっているじゃないですか。だからテレビを見るよりソーシャルでよりリアルな情報を楽しんだりすることの方が多いんじゃないかと。ワンセグを見たい人はまだ十分にいると思うんですけど、たとえばワンセグを見られないなら、見られないなりにやることが他にいくらでもあります。音楽配信もあるし、電子書籍もあるし。

 ワンセグ以外にも今はもっとやれることが増えてきたので、ワンセグの比率っていうのはだんだん下がっているのかもしれない。全部入りが一番いいわけじゃない。今はなんでも入れることによってお客さんが満足するような時代でもないでしょうし、何をお客さんが求めているかというのは、やっぱりカメラ、快適な操作、ここじゃないですかね。

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