どうしても成果があがらないならば、やはりサイトそのものの作りが悪いことは疑わなくてはならない。フィーチャーフォン時代からサイトを運営していた企業にも、初めてモバイル端末向けのサイトを構築した企業にも、スマートフォン向けにサイトを作る場合、知らなければ気づきにくい、かつ陥りやすい独特の「スマホサイトの罠」に気をつけなくてはならない。
そこで本稿は、スマートフォンサイトの構築にノウハウを持ち、コンサルティングも手がけるドコモ・ドットコムに聞いた、「残念なサイト」の典型的なパターンを紹介したい。同社は様々なサイトの改善を手がけた事例を蓄積しており、その罠を把握している。必ず、はっと思い当たる点が一つ二つ、あるはずだ。
まず第一に、スマートフォンサイトはフィーチャーフォンサイトとは根本的に違う。機能や操作感の違いをうまく吸収しつつ、スマートフォンの利点を活かしたサイト作りが必要なのだ。といっても、どこに何があれば見やすいのか、どうなっていると使いにくいのか。自社で見直しをするには、何かしらのノウハウがいる。熟練者から初心者までを取りそろえ、様々なスマートフォンでの表示・操作テストを実行するなどは至難の業だろう。
そこで利用したいのが、ドコモ・ドットコムの提供する「スマートフォンコンサルティング」なのだが、この詳細は公式サイトで確認していただくとして、その入口的サービスである「スマートフォンサイト無料診断」で利用される5項目を、まずは実際の「ダメ事例」とセットで紹介しよう。
第1の項目は「認知性」だ。無料診断では各項目に10以上のチェックポイントが存在しているが、この「認知性」で特に重視されるのが、サイトを開いた時に最初に表示される画面「ファーストビュー」部分。ここにどれだけ効率的に必要な情報が詰め込まれているかということだ。
フィーチャーフォン向けサイトでは常識だった、会員獲得等のコンバージョンにつながるボタンはファーストビュー内に表示する、などといったポイントが、スマートフォンサイト構築においては無視・軽視されている、といったケースが少なくない。スマートフォンでは縦にスクロールすることが容易であるため、ファーストビューの重要性は以前ほど大きくない、と考える方もいるだろうが、デバイスが変わったとはいえ、サイトアクセス時に真っ先に目に入ってくるファーストビュー部分は今なお重要な部分と考えた方がよいだろう。一方で、会員登録などといったコンバージョンリンクを上部に配置することだけにこだわって、本当に重要な情報が見えなくなってしまっているサイトもある。端末やキャリア判定をするなどして、対象となるリンクだけを適切に表示することを心がけたい。
メインコンテンツも、巨大な画像を見せればよいというものではない。このボタンを押したら何が見られるのかをきちんと伝える必要がある。そう考えれば、説明のないアイコンやイメージ画像ばかりを目立つように配置している一方で、主要コンテンツリンクの多くがアコーディオン方式で畳まれているなどというのは本末転倒だということがわかるだろう。しかし、スマートフォンならではの機能を活かそうとするあまり、結果として情報の閲覧までに手間がかかっている、といったケースは意外と多いのである。
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