最近、「クラウドの必要性はあまり感じていないけれど情報収集だけはしておこう」というケースがとても多く見受けられます。現状、サーバに関する課題は特にないが、クラウドがどんなものかそろそろ知っておきたいという方も多いのではと思われます。
そこで前編では、「クラウドは本当に必要なのか」という点について改めて整理してみました。『新しいシステムの導入』『既存システムのクラウド化』『取り組みにくい課題の解決』という3つの想定シーンにおいて、どのような活用方法やメリットがあるのかを把握していただけたかと思います。
後編では、情報システムのライフサイクルにそったクラウドの検証方法をご紹介します。まずは自社のどのような場面でクラウドを利用できそうか検討し、要件を固めた上で、今回ご紹介するフェーズ1~3の検証方法を試してみていただければと思います。
筆者:株式会社co-meeting 取締役 CTO 吉田雄哉
2011/3/14より同じ会社に勤めていた同僚と株式会社co-meetingを起業。SIer、情報システム部門、SaaSビジネスの立ち上げなどの職歴を活かし、「パブリック クラウド えばんじぇりすと(略してパクえ)」として、クラウドに関するベンダーを超えた講演や執筆、テクニカルアドバイザーとして活動中。
なお、本記事では、より詳細な解説を加えた「クラウドの試し方」に関するホワイトペーパーをご用意しています。ホワイトペーパーでは、目的別に6つのプランを取り上げ、構成例や具体的な運用費用をご紹介。プランごとの検証ポイントや、クラウドならではの運用コストダウンのコツなど、クラウドの事前検証に欠かせない内容となっていますので是非ご覧ください。
まずは、クラウド環境について確認を行います。
クラウド環境は仮想環境であるため、実際のスペックについては試さないと分かりません。 またプランにより性能がスケールしますが、基本的なスペックを把握しないと、どの程度のスペックを利用すべきか検討が難しいです。そのため、最初から構成を作ってしまうと結果的に試算が行えず、費用感が見えない原因となってしまいます。
例えば、CPUの表記に「vCPU」という書き方をよく見かけます。これはクラウドが仮想環境であることに起因するものです。もしスペックが「3GHz」記載されていたとしても、あくまで仮想のCPUとなります。全クラウドベンダーが物理CPUに同じモデルを配備しているわけではないので、どのモデルが使われているかによって性能は全く異なります。
クラウドを試す上で重要な点としては、“実際に利用する要件に基づいて試す”ことです。最高の環境を手に入れることが目的ではなく、あくまで要件にフィットした環境かどうかを検証するのがポイントです。 必要以上の性能を求めると結果的に費用が高くなり、コスト面で良くないという誤った評価をしてしまうことになります。
ポイント
クラウドを試す際、必ずクラウドベンダー毎の特徴を踏まえる必要があります。
例えばニフティクラウドで検証を行う場合は、利用するプランに注意が必要です。 miniの場合は、カタログによるvCPUが1GHzとなっています。 それ以外のプラン(small以上)は3GHzとなっており、コア数の違いによりプランが分かれています。 つまり、miniというプランではCPUパワーが他のプランに比べて3分の1に制限されていることを意味します。CPUに制限が入っていると全体のスペックがダウンするため、サーバの基本性能を確認する場合はsmallを利用することをお勧めします。なお、追加ディスクなどのオプション機能については、最初は利用せずに性能を評価しましょう。
他に検証すべき内容としては
をお勧めします。ニフティクラウドの基本機能や無料のオプション機能の確認に注力してみて下さい。
以下のホワイトペーパーでは、クラウドを事前検証する際の構成例や具体的な運用費用をご紹介しています。使い方を工夫するだけで、運用費用を半分以下にすることができるコツなどもご紹介していますので、是非ダウンロードしてみてください。
第1回 今更聞けない!”クラウド”を正しく理解しよう |
第2回 セキュリティリスクとクラウド環境 |
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「クラウドって何?」と聞かれて、きっちり説明できますでしょうか?実はあいまいだったりしませんか? |
「セキュリティーとは」「セキュリティ対策方針」「守るべきポイントと対応策」「セキュリティー担保への5つの方針」をお届けします。 |
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