昨年は多くの企業でクラウドコンピューティングの利用が進んだ年となりました。個人的な感覚としては、スタートアップと呼ばれるベンチャー企業においてはクラウド無しでは事業が考えられないレベルに達しており、さらにコンシューマー向けのサービスを行うベンダーにおいても自社で運営するデーターセンターを利用しているケースに加えて、よりスケーラブルなインフラを獲得すべくクラウドを活用しているという事例が数多く見られるようになりました。
また先進的な企業ではクラウドを活用する方法の模索が始まり、実際に試験的な導入をしつつ、利活用に関するノウハウ蓄積や、情報セキュリティやコンプライアンスなどへの対応をどのようにすると良いか、という課題への取り組みも行われてきております。徐々にですが日本でも、一般的な企業へクラウドが普及する時期に入ってきたと感じる年となりました。
そのような状況において多くの方々の関心としては、
といった、とても基本的な内容に注目が集まっていると感じます。 現在多くのユーザーは教科書のような知識ではなく、より実践的なシナリオの提示や具体的な提案を求めているという印象です。
このような背景として、企業における情報関連の取り組みにおいての従来のスタイルは、要件を取りまとめて要求定義を行い、ベンダーからの提案に基づき進められるという流れが一般的です。しかし、クラウドコンピューティングの活用においてはユーザーがより積極的に自分たちの状況に応じた使い方を取り入れていくことが重要となります。ここが一番大きなユーザーに求められる考え方の変化、パラダイムシフトのポイントといえます。
クラウドの利用において最もよく聞く意見は「現状に問題がないので、クラウドの活用は検討していない」というものです。この視点では、より積極的に経営課題の解決に向けて取り組んでいるという姿とは言い難いように感じてしまいます。果たして本当にそうでしょうか?
ここからは、幾つかの具体的なシナリオをベースに、まずは方策について考えていきます。 なお、後編ではそれらの方策に従い、ステップを進めた場合の構成案や概算での費用感についても提示してみたいと思います。
筆者:株式会社co-meeting 取締役 CTO 吉田雄哉
2011/3/14より同じ会社に勤めていた同僚と株式会社co-meetingを起業。SIer、情報システム部門、SaaSビジネスの立上げなどの職歴を活かし、「パブリック クラウド えばんじぇりすと(略してパクえ)」として、クラウドに関するベンダーを超えた講演や執筆、テクニカルアドバイザーとして活動中。
企業のクラウド導入において以下の3つのシーンを想定し、各シーンにおけるクラウド活用方法やメリットをご紹介します。
もっともクラウドを導入しやすいシナリオとしては、新しいシステム開発にて利用するというパターンです。新しいシステムの導入においては多くの場合、新しいインフラを一緒に調達することになります。ここからクラウドの活用を始めるというシナリオです。
新規システムの構築や運用においてクラウドを活用するメリットは以下のとおりです。
いずれも物理的なインフラを持たないことのメリットであるといえます。新しいシステム開発においては、初期投資金額が高いために投資リスクが懸念されるケースが多く見受けられますが、クラウドを活用する事でこのリスクを抑える事が可能となります。
【パブリッククラウド導入大作戦!】第1回 今更聞けない!”クラウド”を正しく理解しよう |
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