センサーのひも付けが完了したところで、次に具体的にどういう形で使えるのかを見ていきたい。
まず「ATOM 開閉センサー」だ。すでに説明した通り、これは2つのパーツに分かれていて、パーツが近づいていること、離れていることを検知するセンサーとなっている。背面には両面テープが付いているので、一方のパーツを窓やドアに、もう一方を窓・ドアを閉めたときに近接する壁側などにそれぞれ貼り付けて固定し、開閉を検知できるようにする。
アプリ上では、登録した開閉センサーの設定画面の「実行条件を設定」から、検知の条件や検知時のアクションを決めることができる。設定画面には「開いた(離れた)ときにのみ記録」と「開いた(離れた)ときと閉じた(近づいた)ときの両方を記録」という2パターンがあるが、ここでいう「記録」は、アプリ上にログを残す(プッシュ通知する)かどうか、という意味になる。
2つのうちいずれかの検知条件で、ログに残すだけでなくカメラの録画も自動で実行したいときは、設定画面最下段にある「連動するカメラを録画」もオンにする。センサーの開閉の検知は、実際に近づけたり離したりしてからおおよそ1秒~数秒程度で認識され、録画データは検知した直後から12秒間分がクラウドに保存されるようだ。その他、「開いた」状態のまま指定時間が経過したときに通知を送る閉め忘れ防止の機能もあって、カメラ連動とは関係なしに、単純に戸締まり確認に使うこともできるようになっている。
「ATOM モーションセンサー」の方は、人感センサー兼明暗センサーということで、センサーの範囲内に人や動物などがいるかどうかを検知し、さらに周辺が明るいか暗いかを(2段階で)判別する。前面からおよそ120度、8メートル程度の範囲に赤外線を照射して検知する仕組みなので、部屋に人がいるかどうかを検知したいときは、センサーを部屋の隅に置いて中央に向けたり、背面の両面テープで壁や天井に貼り付けたりすると良さそうだ。
モーションセンサーについても、「実行条件を設定」する画面から検知の条件とアクションを設定する。指定できる条件は「動きがあったときだけ記録する」と「動きがあったとき及び消えたときに記録する」(動きがあったとき、または動きがなくなったときに記録する)のいずれか。条件を満たしたときにカメラを自動録画するなら、開閉センサーと同じように画面最下段の「連動するカメラを録画」を有効にする必要がある。こちらも数秒以内には動きが検知され、その後12秒間分の映像がクラウドに保存されるのも開閉センサーと同様だ。
このモーションセンサーを活用することで、飼っているペットが(カメラ視界外の)特定の場所に入り込んできたのを検知して録画したり、来客がオフィス入口に足を踏み入れたのを検知して受付のカメラを作動させたり、といった使い方ができるだろう。テスト版の段階では明暗を条件にしたアクションの設定はできなかったが、正式版ではIFTTT連携で明暗を条件に設定できるようにする計画もあるようなので、そうすれば応用範囲はぐっと広がるはずだ。
ところでATOM Camでは、1つのセンサーで検知したときに複数のカメラで録画する、ということもできるようになっている。ここがちょっと面白いところで、カメラ、ドングル、センサーの3種類は、それをどこに接続し、どうひも付けたかを意識する必要はあまりない。ATOM Camが1台だけであれば、そもそも接続・ひも付けに迷うことはないけれど、2台以上あるときはこのことをぜひ頭に入れておきたい。
というのも、たとえば「カメラA」に「ドングルA」を接続し、それに「開閉センサーA」をひも付けていたとする。このとき「開閉センサーA」で窓の開閉を検知した場合には、「カメラA」の録画を自動でスタートさせることも、同じネットワーク内にある「カメラB」の録画をスタートさせることもできる。「カメラB」にもう1つドングルを接続する必要はないのだ。
応用例を考えてみよう。「カメラA」で見張っている玄関の扉に「開閉センサーA」を取り付けたとして、扉が開いたのを検知したときは、「カメラA」で自動録画を開始する、というような使い方が考えられる。でも、それとは違うアングルから監視している「カメラB」でも同じタイミングで自動録画を開始することができる。
2つのカメラで同時に録画することで、「カメラA」の映像だけではわからなかった様子も、「カメラB」による別アングルからの映像を見れば状況がより明らかになる、といったこともありえる。ドングルとセンサーがそれぞれ1つずつしかなくても、その検知情報を元にしたアクションを複数台のカメラで実行できるわけだ。
ただし、2つ以上のドングルが必要になる場面ももちろんある。ドングルとセンサーの距離によっては検知した情報を正しく受信できないことがあるためだ。開閉を検知したい場所がもう1つあって、それが「カメラA」から離れたところにあるなら、より近くにある「カメラB」に「ドングルB」を接続し、それに新たな「開閉センサーB」をひもづける、といった機器構成を考える必要がある。
とはいえ、筆者が木造2階建ての自宅で試した限りでは、フロアをまたがる形でセンサーを遠ざけた場合でも、1つのドングルでカバー可能だった。1個のドングルにはセンサーを1台~複数台ひも付けることができるので、最小限のコストで柔軟な機器構成を実現できる。自宅やオフィスにある1つ1つの窓やドア、部屋すべてを隅々まで監視するにしても、むやみにカメラやドングルを増やす必要はないかもしれない。
ただ映像を監視して終わり、ではなく、次々に新しい展開を見せてネットカメラの可能性を広げてくれる「ATOM Cam」。今回の外部センサーとの連携は、エッジAIによる人体検知機能などに続く第2弾とでも言うべき大きなアップデートだ。
上手に活用するには試行錯誤が必要になってくるけれど、その分DIY的な楽しみが増して、「スマートホーム化」に楽しくチャレンジできそうな予感がする。自宅やオフィスのセキュリティを徹底的に高めたり、日常のちょっとした手間を自動化したりと、アイデア次第でユニークなスマートホーム化ができるに違いない。正式版の発売を鼻息荒くして待ちたいところだ。
ATOM Camと連携して使えるスマートセンサー 「ATOM Sensor」を支援する
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