エッジAIとしての機能も備えた格安ネットカメラ「ATOM Cam(アトムカム)」の開発元であるアトムテックが、いよいよ外部センサーとの連携を可能にするアップデートを提供する。ATOM Cam用に開発された独自のセンサー機器と組み合わせることで、窓やドアの開閉、動く物体の有無や明暗の違いを検知し、それを元にプッシュ通知したりカメラの録画を開始する、というような使い方ができるのだ。
スマートフォンと連携する開閉検知用のセンサーや、人感センサーなどは、すでに他のメーカーも開発してはいる。ATOM Cam用のセンサーもそれに似ているところはあるが、一番の大きな違いは、やはりなんといってもセンサー1個あたり1000円という激安プライスであること。このあたりはATOM Cam自体を格安で提供してきたアトムテックらしいところだ。そして、もちろん安価なだけでなく、カメラとセンサーを容易に連動できるという部分でも魅力は多い。
10月6日からクラウドファンディングサイトで支援募集を開始しているが、今回はそれに先駆けて開発中のセンサー類をお借りすることができたので、どんな風に活用できるのかチェックしてみた。本格的なスマートホーム環境がこれまでにないくらいに簡単かつ格安で構築できるATOM Camとセンサーの実力を見てみよう。
※今回紹介する機能は開発中のため、正式リリース時とはアプリ画面の表示内容などが異なる場合があります。
ATOM Camとセンサーを連携させる仕組みはシンプルだ。ATOM Cam本体の背面にあるUSBポート、ここに専用の「ATOM ドングル」を接続し、そのドングルとセンサーをひも付ける。ドングルがセンサーの情報を収集するアンテナの役割を果たすと考えれば良いだろう。
ひも付けるセンサーは、今のところ「ATOM 開閉センサー」と「ATOM モーションセンサー」の2種類。いずれもコイン電池で動作し、(ATOM Camに接続した)ドングルとは無線で通信する。ATOM Camはケーブル接続で電源供給する必要があるが、2つのセンサーは小型なうえに電池のみで動作するため設置場所の自由度も高い。
2種類のうち「ATOM 開閉センサー」の方は、2つのパーツに分かれている。パーツを近づけたり離したりするとそれを検知する仕組みだ。窓やドアに取り付けた場合、2つのパーツが近づいているときは「閉まっている」と見なされ、離れているときは「開いている」と見なすことができる。簡単な例だと戸締まり確認に役立てられるだろう。
もう1つのモーションセンサーは、赤外線によって周囲で動く人や動物を検知するもので、いわゆる人感センサーそのもの。ただ、同時に周辺が明るいか暗いかの検知も可能になっているので、人感&明暗センサー、とも言える。しかしここで気になるのは、このモーションセンサーとATOM Cam自体が備えている動体検知機能、エッジAIの人体検知機能との違いだ。
明暗を検知する機能はともかく、カメラ映像に変化があったとき、もしくは人が映っているときにそれを検知するATOM Camの元々の機能を使えば、モーションセンサーがなくてもほとんど同じことができるはず。それでも外部センサーが必要になる場面とはどういうときだろうか。
これは、たとえばカメラの撮影範囲外の場所、言い換えるとカメラを設置しにくい場所で動きを検知したいときに利用することが考えられるだろう。電源ケーブルを伸ばせない離れたところ(検知するのにより適したポイント)から動きを捉えたいときもあれば、プライバシーの面から映像を残したくないけれど、それでも動きだけは検知したいというケースもある。映像内で検知するより先にセンサーで検知して、人やペットの動きを早い段階から映像に残すような使い方もできそうだ。また、「動きがなくなった」ことを検知して通知や録画ができる点も、ATOM Camの動体検知とは異なる部分となっている。
冒頭でも説明したように、外部センサーによって可能になるのは、主に、センサーで何かを検知したときにスマートフォンにプッシュ通知する、またはATOM Camで録画を開始する、という2点。これによってATOM Camの応用範囲はかなり広がるけれど、正直なところ、「それだけだとATOM Camがスマートホームのハブになるとは言えないのでは?」と思うかもしれない。
たしかに、今回検証できたのはプッシュ通知と録画のみなのだが、実はクラウドファンディングで支援したユーザーが正式版を利用できるようになる12月(予定)には、スマート機器などの自動化サービスとして知られる「IFTTT」にも対応するという。これが実現すれば、ATOM Camおよびセンサーと、他のスマート機器とを連動したさまざまな自動化にもつなげられる。(※)
トイレのドアの開閉を検知したら換気ファンを動作させたり、部屋に人が入ってきたときにエアコンをオンにしたり、暗かったら照明も一緒に点灯したり、といったようなスマート化もおそらく不可能ではない。単なる格安ネットカメラが、スマートホーム化の中心的な存在になりうるのだ。(※)
※IFTTT側の価格変更に伴い予定している販売価格を維持することが困難なためIFTTT対応を見送ることになりました(11月10日現在)
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