お盆に三浦半島をクルマで走っていたとき、料金所に「ETCGO」と書かれたレーンを見つけた。筆者が使っている楽天のETCカードは非対応だったため、仕方なくSuicaで通行料金を支払った。そこで、この「ETCGO」とは何者なのかを調べてみた。
ETCGOは、高速道路以外でもETCカードで決済できる“多目的ETC”だ。有料道路に限らず、駐車場や飲食店のドライブスルーなどでも利用できるキャッシュレスサービスとして構想されている。
最大の特徴は、ETCと同様に車から降りずに料金を精算できる点だ。事前の利用者登録は不要で、対応ETCカードを挿したまま料金所で一旦停止するだけで決済が完了する。一方で、高速道路ETCのようなノンストップ通行には対応せず、これによりアンテナなどの機器を簡素化できる。さらに処理をクラウド化することで、高速道路ETCに比べ大幅に低コストで導入可能としている。
ただし、最大の課題は「対応カードの少なさ」だ。公式の「利用可能カード一覧」によれば、現時点では三井住友トラストクラブ(ダイナース)、イオン銀行のイオンETC専用カード、三菱UFJニコス(MUFG/NICOSの一部)、トヨタファイナンスに限られている。
「普通のETC方式にしないのか」という疑問については、前述のとおり導入コストが理由だろう。機器を簡略化し、停止前提で確実に決済する方式を採用することで、地方の小規模料金所や駐車場にも導入しやすくしている。コストと運用のバランスを取った“止まるETC”というわけだ。
導入事例としては、三浦縦貫道路が2025年1月12日から、逗葉新道が同年3月18日から本格運用を開始。埼玉の三郷流山橋有料道路でも3月25日に導入が始まっている。駐車場では千駄ヶ谷駐車場(Cブロック)など、駐車場や観光道路にも利用範囲が広がっている。導入先や対応カードは随時更新されるため、出発前に公式一覧で最新情報を確認しておきたい。
なお、名前が似ていてる「ETCX」という別サービスも存在する。こちらは別会社のETCソリューションズが運営しており、利用には事前の会員登録が必須だ(ETCGOは不要)。同じく停止前提で仕組みも近く、「ETCカードを使った2つの派生規格が併存している」状態といえる。現地で見分けるには、ロゴや案内表示を確認するとよい。
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