5月にカトリック教会の指導者である教皇に就任したレオ14世は、人工知能(AI)分野を注視する姿勢を示している。
教皇は、AIを評価するための「より高次の倫理基準」を策定するようIT企業に求めた。このメッセージは、ローマで開かれた第2回「AI、倫理、企業統治に関する年次会議」に参加したGoogle、Meta、OpenAI、IBMのリーダーらに向けて発せられた。
教皇が求める枠組みは、AIが「人間の福祉を物質的な面だけでなく知的・精神的な面でも考慮に入れる」ことを保証するものになるという。教皇は現地時間6月20日のメッセージで、AIによる前例のない迅速な情報アクセスが、子どもの発達に最も大きな影響を及ぼす可能性を指摘した。
「若者は成熟と真の責任へ向かう旅路で、助けられるべきであり、妨げられるべきではない」と教皇は述べた。
教皇がAIについて語るのはこれが初めてではない。5月の最初の教皇演説でもAIへの言及があった。またイタリアの司教団への演説では「人間の尊厳への敬意を問い直す」という課題に触れ、AIやバイオテクノロジー、データ経済、ソーシャルメディアによる影響への懸念を示した。
もっとも、教皇はAIを全面的に否定しているわけではない。適切に用いれば、AIは「より大きな平等を促進」し得ると指摘した。一方で、AIには「利己的な利益のための悪用」や「対立と攻撃をあおる」可能性もあると強調した。
バチカンは規制の権限を持たないものの、AIをめぐる倫理について積極的に発言してきた。2020年にはAIアルゴリズムの倫理的考察を示した文書「Rome Call for AI Ethics」(AI倫理に関するローマの呼びかけ)を策定し、IBM、Microsoft、Qualcommが原則を順守することに同意して署名した。レオ14世のAIに対する強い姿勢は、AIを人類の利益のためにのみ使用すべきだと訴えたフランシスコ前教皇との姿勢に似ている。
レオ14世のメッセージこの記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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