英BBCは、AI検索エンジンを提供するPerplexityに対し法的措置をとると警告した。Perplexityが無断でBBCのコンテンツを利用し、「逐語的」に複製したと主張している。
Financial Times(FT)が現地時間6月20に公開した書簡によれば、BBCはPerplexityの最高経営責任者(CEO)であるAravind Srinivas氏に宛て、PerplexityのデフォルトAIモデルが「BBCのコンテンツを用いて訓練された」と指摘した。BBCは、PerplexityがBBCのコンテンツのスクレイピングを停止し、BBCの素材をすべて削除し、さらに「金銭的補償の提案」をしなければ、差し止めを求める考えだという。
BBCはコメントを控えるとしつつ、FTの報道内容は正確だと述べた。
FTへの声明で、PerplexityはBBCの主張を「欺瞞的で便乗的」とし、BBCはテクノロジーやインターネット、知財法を根本的に理解していないと反論した。また、法的措置の警告は、「BBCが自らの利益を目的に、Googleの違法な独占を守るためにどこまでやるか」を物語っているとも主張した。
米裁判所は2024年、Googleが検索での支配力を強化するために反トラスト法に違反したとの判決を下している。
Perplexityは大規模言語モデル(LLM)を基盤とするオンライン検索エンジンであり、ほぼあらゆる質問に答えられる。このため、ユーザーを満足させる回答には質の高い情報が必要になる。BBCは、PerplexityがBBCのコンテンツを基に回答を生成することで、読者が直接BBCのウェブサイトを訪れる必要性が減ると主張している。
AI企業がBBCのジャーナリズムを適切かつ中立に利用しているかという懸念もあり、そのことが同社の評判を傷つける可能性もある。BBCは、Perplexityの検索回答の17%に重大な問題があり、「最も多い問題は事実の誤り、出典、文脈欠如」だと主張した。
Perplexityはコメントの依頼にすぐには応じなかった。
BBCがAI企業を追及するのはこれが初めてだが、Perplexityがパブリッシャーと問題を起こしたのは初めてではない。現在、著作権侵害でPerplexityを提訴した、または提訴を警告しているメディアには、The Wall Street Journal、New York Post、Forbes、The New York Timesが含まれる。2025年のWiredの調査記事では、Perplexityがブロックを回避して記事をスクレイピングする方法を見つけていたと報じていた。
これらの苦情が渦巻く中、Perplexityは2024年、Fortune、Time、The Texas Tribune、Der Spiegelを対象にしたパブリッシャーとの収益分配プログラムを開始した。
AI企業の企業価値が急騰する一方でメディアの利益率は縮小しており、パブリッシャーは自社コンテンツを保護する姿勢を強めている。「ChatGPT」の開発元であるOpenAIは評価額が3000億ドル、Perplexityの評価額も140億ドルに急騰した。Perplexityの出資者にはソフトバンクグループとNVIDIAのほか、AmazonとWashington PostのオーナーであるJeff Bezos氏が含まれる。
一方、オンライン時代においてジャーナリズムは苦戦しており、広告費はGoogleに奪われ、関心はソーシャルメディアアプリへと移っている。ノースウェスタン大学の研究によれば、2005年以降、米国では2900の地方新聞が廃刊になった。
BBCこの記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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