12インチ「Surface Pro」(2025)レビュー 動作キビキビ、外観秀逸、電池持ち良すぎ 懸念点は?

Kyle Kucharski (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2025年06月20日 10時01分

 さらにスリムになったSurface Pro最新モデル。バッテリーは長持ち、デザインも刷新。果たして本当に買う価値はあるのだろうか?──。

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  1. 12インチ「Surface Pro」(2025)
  2. Snapdragon X Plusプロセッサー搭載
  3. バッテリーは超長持ち、急速充電も秀逸
  4. 総評--魅力的だがアクセサリーを揃えると高額に

12インチ「Surface Pro」(2025)

 12インチの「Surface Pro」2025年モデルは、これまでのモデルよりも薄く軽く見た目がスッキリとしており、省電力設計の「Snapdragon X Plus」プロセッサーを搭載。バッテリー持ちの良さを武器に、Windowsが推す最新の「Copilot+ PC」機能を最大限に引き出せる工夫が詰め込まれている。

12インチ Surface Pro 2025(Amazon)

 私は本機を約2週間、メインのノートPC代わりとして徹底的に試してみた。率直に言うと、同モデルは「全面的な進化」というより、「既存ラインナップの良いとこどり」という位置付けだ。パワフルさよりも「オンデバイスAIを日常的に使い、どこへでも軽々と持ち運べる」ことを重視する一般ユーザー向けに設計されている。

 本機の魅力は、小さくなった筐体だけではない。新色の「バイオレット」と「オーシャン」が目を引く。

 なお、標準カラーの「プラチナ」モデルは価格が14万9380円〜だが、前述の新色を選ぶと16万4780円〜となる。しかも、キーボードは2万7280円で別売りだ。

 とはいえ、実物を手にするとデザインは格段に洗練されている。丸みを帯びた角、極限まで狭められた細いベゼル、背面隅にさりげなく移動したウェブカメラ。これらが融合して、まるでiPadのようなプレミアム感を醸し出しているのだ。

 バイオレットとオーシャンの新色も、控えめながら実に美しい。ありふれた淡いパステル調ではなく、絶妙なニュアンスカラーが新鮮だ。新色は別売りの純正キーボードにもしっかり反映され、これまでキーボード表面を覆っていたアルカンターラ素材が取り払われ、すっきりとした単色マット仕上げへと変貌した。

 一方で、アルカンターラ素材はキーボードカバーの裏側に残っており、収納時や持ち運びの際に、上質な手触りを感じられる。キーボードの打鍵感も良好で、適度な反発があり打ちやすい。トラックパッドの反応もスムーズで、文字入力が快適にこなせる仕上がりだ。

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 さらにキーボードとの接続部分が以前よりピタッと密着するようになり、ヒンジ部分の隙間もなくなったことで、デスクに置いた時に少しだけ省スペース化されている。

 Surface Penは、従来のようにキーボードに収納するのではなく、本体にマグネットで「カチッ」と貼りつく仕様になった。バッグに入れて持ち歩くときも、大抵の場合ペンはしっかりくっついていてくれるが、油断しているといつのまにか外れてしまうこともある。

 MicrosoftはAI時代のPCとして『Copilot+』機能を強く打ち出しており、本機には45 TOPSのAI処理性能を持つQualcomm製のHexagon NPU(後述するSnapdragon X Plusに内蔵)を搭載している。

 例えば、長らく登場が待ち望まれてきた「リコール」機能は、現状まだプレビュー段階ながら実用化に近づきつつある。また、CapCutやDaVinci Resolve、DJay ProのようなAIを活用するクリエイター向けのアプリもスムーズで快適に動作する。普段の生活のなかでAIを手軽に活用したいユーザーに最適な、「AIの恩恵を気軽に楽しめるタブレット」といった印象だ。

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Snapdragon X Plusプロセッサー搭載

 本機はQualcommのSnapdragon X Plusチップを搭載し、Windowsが快適に動作する。なお、SnapdragonプロセッサーでWindowsを動かす場合に生じやすかった互換性問題、特にゲームやレガシーなソフトウェアとの連携といった弱点は、本機のターゲットとなるユーザー層にはほとんど影響しないだろう。

 12インチSurface Pro(2025)のハードウェア構成は控えめながら、十分な競争力を持っている。16GBのRAM、最大512GBのストレージ、そしてSnapdragon X Plus、さらに2196×1464ドット(220ppi)の鮮明なLCDを搭載し、日常使いを前提としたスペックだ。これに対して、13インチのSurface Laptopでは、より高性能なパーツを選べるようになっている。

 とはいえ、Snapdragon X Plusは動作が軽快でキビキビとしており、起動やアプリの読み込みが速く、マルチタスクも非常にスムーズだ。ラップトップモードでもタブレットモードでも、バッテリーの持ちは安定しており、一般ユーザーが日常的に求める性能はきちんと満たしている。

 実際に12インチのSurface Proをベンチマークしてみた。結果は、同じ価格帯の薄型軽量ノートPCであるAsus Zenbook A14(同じくSnapdragon X Plusを搭載)や、2024年登場のHP OmniBook X 14(Snapdragon X Elite搭載)とほぼ同等だった。

 ディスプレイの品質も鮮明でクリアだ。ただし、最大輝度は400ニト、リフレッシュレートは90Hzが上限だ。タブレットという性質上、表面の反射がかなり強く、オフィスで使っていると頭上の照明が映り込んでしまい、一日に何度も本体の角度を調整する羽目になった。

 Surface Proのオフィスでの使い勝手は、「キーボード付きのノートPC」としても、「キーボードを外したタブレット」としても両方快適で、必要な時に応じて柔軟に姿を変える。キーボードを外してSurface Penを使えば、Whiteboardアプリでメモ書きやプロトタイプ作り、自由なアイデアのスケッチが驚くほど快適にこなせる「生産性の高いタブレット」となる。

 Surface Penには、側面のボタンやペンのお尻の「クリック機構」に、アプリの起動や特定の機能を割り当てることができる。ただし、動作はやや不安定で、バックグラウンドで複数のアプリを開いていると、速く書こうとしたときに少しラグを感じる場面があった。

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 HDカメラの位置はささいな欠点といえる。Surface Proをキーボードに取り付けていると、キックスタンドの角度には限界があり、カメラの向きがやや下向きになってしまう。

 一般的なノートパソコンなら画面を直角近くまで立てられるが、それと比べると若干の不便さを感じる。ビデオ通話を頻繁に利用する人は、キーボードを取り外してタブレットスタイルで使ったほうが、相手と自然な視線で会話ができるかもしれない。

バッテリーは超長持ち、急速充電も秀逸

 バッテリー性能については、搭載するSnapdragon X Plusプロセッサーの優れた省電力性が際立っている。デバイスを使っていない時のバッテリー消費量はごくわずかで、フル充電すれば余裕で丸一日以上の作業に対応できる。

 Microsoftの公式アナウンスでは「16時間駆動可能」となっているが、実際の動画再生テストでも15時間超えをマーク。さらに通常使用を想定したテストでは、バッテリー効率を特別に最適化しなくても10時間以上稼働した。これは公称の12時間にかなり近く、実用面での安心感は抜群だ。

 さらに嬉しいのが、その圧倒的な充電スピードだ。完全にバッテリーが空になった状態でも、わずか30分で50%、1時間もあれば約80%まで回復する。Surface Proシリーズの中でも、この12インチモデルは間違いなく「バッテリー効率No.1」かつ「充電の速さでもトップクラス」と言えるだろう。

総評--魅力的だがアクセサリーを揃えると高額に

 12インチMicrosoft Surface Proは、従来モデルよりも薄く軽く、バッテリーの持ちも向上した新モデルだ。洗練されたカラーバリエーションやデザインの刷新といった魅力も備え、タブレットとノートパソコンの長所を両立したハイブリッド端末として、Surfaceシリーズのラインアップをさらに充実させている。

 ハードウェア構成はハイエンド向けというわけではなく、16GBのRAMと256GBのストレージを搭載し、14万9380円という比較的手の届きやすい価格設定から提供されている。

 スタイラスを使った手書き入力が好きで、ストレージをあまり多く必要としないのであれば、非常におすすめの一台だ。バッテリーの驚くほどの持ちの良さに加え、見た目もスタイリッシュで洗練されており、高級感のあるキーボードカバーは打鍵感も良く、タイピング体験も非常に快適だ。

 ただし注意すべきなのは、Surface KeyboardやSurface Arcマウス、電源アダプターがすべて別売りである点だ。これらのアクセサリーを揃えると、結局のところ22万4290円からになってしまう。

 またストレージ容量やメモリが控えめであることを考慮すると、このモデルは特に12インチというサイズ感や持ち運びやすさ、そしてバッテリーの長持ちに価値を見出すユーザーにこそ向いている製品だと言えるだろう。

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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