私はAppleのWWDC25基調講演を視聴したが、新しいデザイン言語「Liquid Glass」をめぐる華々しい演出とは裏腹に、心が躍る瞬間はほとんどなかった。14年間テクノロジー記者としてAppleの基調講演を取材してきた中で、最も期待外れな基調講演の1つだと感じている。これは良い兆候ではない。はっきり言えるのは、Appleが9月の「iPhone 17」(仮称)発表で大きな話題を作る必要があるということだ。
今回の発表でAppleが何か間違ったことをしたわけではない。私は実際、発表の多くを気に入っている。新しいLiquid Glassデザインは「Windows Vista」の路線に近いとも言えるが、しばらく変化に乏しいように感じられていた「iOS」に少し新鮮味が加わったのはうれしい。ただし革新的とは言い難く、スマホの使い方を変えるほどではない。
発表された新機能のうち、「通話スクリーニング」や、Appleの「ビジュアルインテリジェンス」を使ったスクリーンショット検索などは確かに便利だが、「Android」の通話スクリーニングや「かこって検索」とほぼ同じなので興奮しづらい。「tvOS」に追加される光沢のあるアイコンや「iPadOS」の新しいポインターも同様だ。Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるCraig Federighi氏でさえ、大した目玉がないことを自覚しているようだった。「より尖った(pointier)ポインター?誰が予想しただろう!」と冗談を飛ばしたほどだ。
確かに、iPadOSのウィンドウ機能は気に入った。しかしプレゼン全体で興味をそそられたのはほぼそれだけだ。Appleが新しい「Apple Games」アプリを発表したときは、新しいプラットフォームやグラフィックエンジン「Metal」の進化によって遊べるタイトルが増えるのではと胸が高鳴った。ところが、実際は簡単にゲームを一覧し、友人のハイスコアを見る方法にすぎなかった。がっかりだ。
全体として盛り上がりに欠けたため、9月に見込まれる「iPhone 17」の発表に期待せざるを得ない。それは大きな発表でなければならない。目を見張るようなものが必要だ。私のためだけでなく、Appleのためにも。
「iPhone 16」は優れたスマホだが、最大の新要素はカメラ用の新しいボタンで、これはいまだに少し奇妙に感じられる。2024年にはApple Intelligenceの華々しい発表があったが、現時点では大きな失望に終わっており、Federighi氏も「今後1年のうちに」アップデートのさらなる情報を明らかにすると述べるにとどまった。要するに、Appleは成功を必要としている。
その成功となり得るのがiPhone 17だ。初期のうわさでは、クリエイター向けの高度な動画機能を備えたカメラの強化や、サムスンの「Galaxy S25 Edge」と競合する薄型の「iPhone Air」が挙げられている。折りたたみ式iPhoneは年内に登場するだろうか。可能性はほぼないだろうが、長い基調講演の中で何らかの言及があれば、私はもっとワクワクしたはずだ。
もしかすると、私が辛口すぎるのかもしれない。14年間Appleのイベントを取材して、少し飽きてしまったのかもしれない。あるいは英国時間の午後6時開始だったため夕食の時間が遅くなり、空腹で不機嫌だっただけかもしれない。とはいえ、Appleはもう少し充実した内容を用意し、1年で最大の発表が見た目だけでなく中身も伴うことを示す必要があったのではないだろうか。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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