パナソニック・エレクトリックワークス(パナソニックEW)は5月26日、大阪市でメディア向け説明会を開き、EV/PHEV向け普通充電器「ELSEEV hekia S Mode3」のモデルチェンジについて説明した。最大の変化は、コネクタホルダを本体から分離したセパレート構造の採用で、これにより車両の充電口に合わせた柔軟な設置が可能となり、ケーブルの取り回しやすさも向上した。
一方、足元を見ると、日本ではEVの普及が進んでいない。パナソニックはEV用充電器市場で国内トップシェアを誇り、EVの普及は今後も拡大するとの見立てだが、2024年の国内EV販売台数は前年割れとなっている。米国の10%増など、諸外国と比べても極端に振るわない数字だ。
この背景については、質疑応答で記者から「なぜ日本ではEVの普及が進まないのか」との問いが投げ掛けられた。その背景について、パナソニックEWの蓄電池・EV企画課で課長を務める田中政行氏は次のような見立てを示した。
ーーなぜ日本ではEVの普及率が低いのでしょうか
田中氏:「(日本よりも比較的EVが普及している)ヨーロッパの中でも一部の国では、冬場に冷却水が凍ってしまうため、各駐車区画に電源が通っていて、そこからヒーターをつけられるようなインフラが整っています。そういった地域では、EVへの転換が非常に早く進みました。中には、EV普及率87%という国(ノルウェー)もあります」
また、ドイツの自動車メーカーなどが一気にEV化を進めたという背景もあります。ディーゼル車の課題が顕在化した際、環境対応の選択肢としてディーゼルを続けるのではなく、EVへの転換に大きく舵を切ったことも大きな要因です。
一方、日本では、人口の多い都市部を中心に「クルマを1台だけ所有する」というケースが多いと考えられます。そのような環境では、日常の買い物にも、長期連休にも同じクルマを使うため、EVの航続距離に不安を感じやすく、なかなか乗り換えに踏み切れないという事情がありました。こうした点が、日本でEV化のタイミングがやや遅れた要因のひとつです。
しかし、最近ではバッテリーの容量が増加しており、1回の充電で400km〜600km走れる車種も登場してきています。これにより、航続距離への不安という障壁も徐々に解消されつつあると感じています。
さらに、充電設備の増加によって、どこでも充電できる環境が整えば、移動もしやすくなり、「1台持ち」の家庭でもEVへの乗り換えが進むのではないかと見ています。
一方地方では、通勤や送り迎えなどの用途、「旦那さん専用」「奥さん専用」といった日常使いのセカンドカー需要もあります。こうした用途では、ランニングコストがガソリン車よりも安く済むため、今後はそういった2台目としてのEV需要も増えていくのではないかと考えています。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
イノベーションの「種」から社会実装へ--
社会課題の解決に挑む各社の挑戦
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
働くあなたの心身コンディションを見守る
最新スマートウオッチが整える日常へ