Amazonが荷物を届ける人型ロボットを試験。近い将来、玄関先でベルを鳴らすロボットを見る日が来るかもしれない──。
Amazonはこれまでドローンを使った配送を行ってきたが、The Informationが引用した社内報告書によれば、同社はより人間に近い自律配送手段のテストを計画しているという。具体的には、歩いて玄関まで荷物を運ぶロボットだ。
同社はサンフランシスコに障害物コースを備えた実験施設をほぼ完成させており、そこで技術開発を進める見込みだ。しかし、実際にこれが日常の配送業務で活用されるのがいつになるかは、現時点では明らかになっていない。
これまで家庭向けや倉庫内でのロボット技術の開発に力を入れてきた同社だが、人間に近い姿で荷物を運ぶロボットを配送業務に直接導入し、人間の配送員に代わる可能性を秘めた大胆な取り組みは、今回が初となる。この人型ロボットには、Amazonが他分野で活用しているAI技術の一部が応用される見込みだ
ロイターの報道によると、Amazonは配達用のロボットだけでなく、倉庫作業を担う人型ロボットの開発にも力を入れている。同社の研究施設「Lab126」で開催されたイベントでは、そうした倉庫作業向けの人型ロボットの存在も明らかにされている。
さらにAmazonはX(旧Twitter)の公式アカウントで、複数の分野にわたりエージェント型AIを活用している事例を紹介し、次のように述べた。
「フルフィルメントセンターで働くロボットが自然な言葉を理解し、即座に行動する基盤モデルを開発中だ。『その黄色いトートバッグを取って』と人間が指示するだけで、ロボットが瞬時に実行する。そんな未来が目の前に迫っている」
また同社は米国、カナダ、ドイツ、ルクセンブルクなどで、ロボティクス関連の求人を数百件にわたり公開しており、こうした次世代技術の開発体制を拡充している。
なお、Amazonの広報担当者は、この件に関するコメントの要請に対し、現時点では回答していない。
Amazonが現在取り組んでいる人型の配達ロボットが実用化すれば、従来のトラックや配送員による手法に加え、渋滞を気にせず空を飛び回るドローン、そして自ら荷物を手に歩くロボットを巧みに組み合わせた、新たな配送の時代が幕を開けるかもしれない。
「人型ロボットは重い荷物を運べるうえ、倉庫・エレベーター・廊下など人間の環境でも作業できます。しかも単調で肉体的にきつい仕事を、担い手が減りつつある現状のなかで代替できる」と、リトアニアのロボット自動化企業 VMG Technics のCEO、マンタス・レクニウス氏は語る。
さらにレクニウス氏は「ロボットが十分に信頼性と汎用性、経済性を備えれば、労働コストを大幅に削減できる」と見込む一方で、導入・維持には高コストがかかり、人間と安全に共存させるには高度なAIが不可欠だとも指摘する。
Amazonは次世代技術、とりわけ物流分野に「莫大」な投資を行い、ロボティクス企業との提携を強化していると同氏は説明する。テスラ、Apptronik、Boston Dynamics などが進める開発成果も、同社にとって追い風になるだろう。
「Amazonは現在、自社で人型ロボットを開発してはいないものの、他社のソリューションを積極的に活用している。これが他業界への技術普及を加速させる可能性がある」とレクニウス氏は締めくくった。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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